第三話 紅葉舞い散る幻想

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『たーつや!はい、あーん♪』

俺の目の前には、厚焼き玉子...じゃなくて!
それを笑顔で差し出す理奈...何この、嬉しいんだけど。

「本当に理奈?」

こんな都合のいい理奈なんて現実にありえない。それでも俺は、理奈に逢える事が単純に嬉しい。

「理奈、そっちのも食いたい」

『うん!竜也だーい好き!!』

「...............///」

可愛すぎる...もっとこうしていたい、離したくない。

『竜也...?』

俺は力任せに理奈を抱き締めた...消えないで、ずっと俺の腕の中にいて...せめて、独りよがりな俺の“夢の中”くらい。

「どこにも行くな!頼むから...」

すると理奈は俺から少し離れて、何処か寂しそうに笑う。

ーーーその顔を俺は見たことがある

嫌な予感...あの時と同じ。理奈がいなくなる。

『竜也に、あいたかった』

そう言って理奈が笑う...俺の大好きな笑顔。
するとその瞬間、紅葉が風に舞った。

『     』

音の無い理奈の言葉...いつの間にか自分から離れていく理奈を掴もうと手を伸ばした。

「理奈!!」

ーーー届かない、掴めない

行かないでくれ...どんなに理奈に叫んでも、追いかけても遠ざかる。
いつの間にか、紅葉に包まれて理奈は消える...。


こんなにも、理奈がいないと駄目なのに...傍にいたいのに、どうしてなんだ...!!





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ベッドの上で眠る竜也。彼の頬に一筋の涙が伝う...。
ここは竜也の部屋だ。

「..な...り..な......」

風が竜也の前髪をさらう。
開けっぱなしの窓から秋の風が入り込んで1枚の紅葉がひらひらと、竜也を慰めるように彼の傍に舞い落ちた...。

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