02


休日の昼間、空は晴れていて星羅は、1人で海の見える南公園へ来ていた。

「…ルナが、炎騎を好きになった理由……」

ベンチに座り、海を見ながら一人言をつぶやく。

「………………」

星羅が、ぼーっとしていると何処からか音楽が聞こえる。

「……サックスと...ドラムとベースとギター?…」

どうやら、公園の中央にあるステージでライブをしているらしい。
星羅はベンチから立ち、ステージへ向かう。



ライブをしているステージに行くと、それなりに人が集まっていた。
星羅は慣れた様子で、ステージ横のテントへ行く。

「あ、星羅!」

サックスを持った女の子が星羅に気づいて、ステージ上から声をかける。
彼女は、白崎亜夜子。
茶髪で水色の瞳の可愛い子だ。

「……亜夜子の奴…」

観客の視線を浴びる星羅。
すると、テント下でタク(音響機材)をいじっていた男子が、笑いながら言う。

「黒木も歌うか?」

彼は、音楽音響科3年1組の高村優斗。
ダーク・レッドの短髪で赤と赤紫の瞳。
カッコイイ…。
ルナと炎騎がよくお世話になっている先輩。
星羅は、慌てて首を勢い良く左右にふる。

「何だ、ダメか…」

残念そうに言う優斗。
観客の方がざわついている。

「悪い。黒木…」

いきなり謝罪しているのは拓だ。
拓を見た途端にマイクをもう1本用意しろ!と指示を飛ばす優斗。

「え!?まさか…!!俺が!?」

すごく慌てる拓。

「いつものことだろ?やれ!」

すごく俺様な優斗。――――――







‐ステージの上‐

ライブが終わった。

「ところで、亜夜子…何で、たくとベッタリくっついてるの?」

さっきから、ずっと拓とくっついている亜夜子に星羅が問う。

「好きだからー!!」

もっとくっついて言う亜夜子。

「ぅわああぁーーー」

そんな亜夜子に慌てる拓。

「…付き合ってるの…?」

考えながら言う星羅。

「そうだよー…って、言ってなかったっけ?」

亜夜子は、拓から離れて言う。

「聞いてない」

ハッキリ答える星羅。

「あ、言ったのルナの方だった…」

どうやら、言った相手はルナだったらしい。
会話から外れていた拓が言う。

「…亜夜子、お願いだから人前で抱きつくのを止め……てください」

途中で亜夜子が拓をにらむ。

「拓カワイー」

テンションの上がる亜夜子。
ついでに抱きつく。

「仲良いね…」

何処か、遠くを見ている感じの星羅。

「ところで、星羅…何か進展があったら教えてよ♪」

亜夜子は、そう言うなり拓を連れて帰って行く。

「………は?…誰と……」

亜夜子からのそれに、何故か、星羅の頭には桜木純也が浮かんでいる――――――


[ 21/31 ]
[*prev] [next#]
[戻る]