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「ルキアさん、ナイトが決まりましたわ」

ここは女王の執務室。
前女王リオンをはじめナイトのユウガと魁人。
現女王であるルキアと…リオンが選んだナイトが2人。

「…秋斗?」

久しぶりな秋斗の姿と倒れた時に助けてもらったライキの姿。

「心配しましたよ、わたしのルキア」

秋斗は完全にルキアを自分の姫扱いして抱き締めている。

「いや、秋斗のになった覚えないから…」

と言いつつも、秋斗の温もりに安心を覚えるルキアは、秋斗の腕を振りほどけない。

「まさかお前が“女王”だったなんてな…」

秋斗はとのかく、ライキはナイトを受け入れているのだろうか。

「彼らはあなたのためにナイトを引き受けてくださいます」

ルキアの心情を察したのか、リオンはニコッと笑って言った。

(…私なんかッ…!!)

ルキアは、秋斗から離れて動揺しながら怒鳴った。

「私はッ…女王なんかじゃない!!」

視点の合わないルキアの瞳…呼吸困難を起こしている。

「イヤッ…女王なんかッ…!!っ…いやぁーーー!!」

すでにルキアの心は壊れはじめている。瞳は見開かれ、涙を流しては拒絶の言葉を叫び続ける。
自分も人々も星も…すべてに呪詛をかけるように…すべてを壊すように……。

「私なんかに..できるわけない…もう、何もかも..いらないッ…!!」

「ルキアさん…!それでは星が…!!」

(誰かの苦しみが..きこえるの・・・)

ルキアは世界の声をききながら…涙を流しながら気絶した。


















闇色の空間。

《我が女王よ…》

誰かの声が響く…。まるで唸るように低く、聞いた者を取り込むような印象を受ける声…。
これが、星の意思か…。

「誰!?」

ルキアが瞳を開けると、真っ黒で何も無い…上下左右にとらわれない空間が広がっていた。

《我が女王…我を受け入れよ》

ルキアは、心を素手でわし掴まれたような気がした。

「っ…!くぅっ……」

ルキアの顔が悲痛に歪んでゆく…。苦しそうに胸を押さえて身体に力を入れてもがき、恐怖に涙を浮かべる。

『……私がまだ、そばにいます』

また、誰かの声が響いた。優しく強い、凛とした女性の声…。
女性の声と共に、低い唸り声は遠のいていった。
もう、苦しくはない。
ルキアは涙を服の袖で拭いた。憎しみという感情を瞳に灯して…。

「世界なんて…無くなればいい・・・」

ルキアの言葉は呪詛である。女王としての能力が作用しているのだ…。















女王は、陰と陽・光と闇…両極端の能力を秘めている。


それは女王の手に“すべて”をゆだねているのか…



平和を願う女王にも

破壊の女王にもなれる



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