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暗闇の空間

《我を受け入れる気になったか》

「ならない…!」

ルキアは星の意思を強く否定する。女王になどなるものかと…。
だが、ルキアはすでに選ばれているのだ。拒否権など最初から存在していない。

《お前が受け入れずとも、我はお前を喰らうだけだ》

容赦の無い星の意思に心を喰われるルキア…この空間に逃げる場所など何処にも無い。
“心”が無くなってゆく…。




























女王の執務室。
リオンが1人、泣いていた…。ルキアの心が星の意思に喰われているのが解るのだ。
女王の玉座を下りた者に女王の能力が、何かしら残るというのは珍しいことではない。

「ルキアさん…“女王”になることは運命なのです……逃れることなんてできないの・・・」

女王を経験した者のみが知る絶対的な“ちから”、星の意思に抗う事などできないのだと…。

「私の先代の女王も……歴代の女王はみんな心を病んでいるから・・・」

一瞬だけ、おっとりとした優しい感じが消えて鋭くなったリオンの雰囲気。

「私は..“平和を願う女王”を選んだの・・・」

涙を手でぬぐい、リオンはいつものように優しく微笑んだ。
自分の先代の女王の分も、笑うと決めているから…。

「さて、そろそろ城を出る準備をしなくてはなりませんね」

今まで泣いていたなんて感じさせないリオンは、使い慣れた机を見つめた。
もう、戻る事の無い女王の執務室を後にした。































世界が…星が……


“滅び”



に向かっていると…

この暗闇の星に住む者達が騒いでいる



ただ女王を憎み、蔑み…祈りを唱えることしか出来ないのに・・・・・



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