3
あれから数日。
ルキアはずっとヴァイスを想って泣いていた...。
ここは太陽村の地下深く、長の持つ魔力と昔この村にいた巫女の霊力により造られている空間である。地上にある太陽村が再現されている。
人間たちは魔族を白の力を使い滅ぼした後、何処からかこの太陽村の者達が魔族と人間の間に生まれた者の住む村だと情報が流れた。そのため今、太陽村の者は人間に狙われている状態であると床に伏せている長に聞いた。
「ヴァイス...」
長の家の3階のルキアの部屋。
何度彼を呼ぼうとも、来てはくれない。前は呼ばなくても毎日のようにほ来てくれていたのに...どうしても傍に来てくれない。
あの自分を我と呼ぶ、低い声。あの上からものを言う...ヴァイスの不器用に優しい腕に抱かれたい。
「お姉ちゃん外が大変なの...」
いつの間にか従妹のリオンが部屋のドアの所で不安そうな顔をしていて、ルキアのもとへ来た。今は太陽村の者にとって危険な外へ出てきたのか、リオンは頭からずぶ濡れである。
ルキアは涙を手で拭うと、近くにあったタオルを手に取ってリオンの体を拭いた。
「外、雨が降ってるの?」
「うん。すごくいっぱい...ずっと降ってて止まないの...雷もずっと」
リオンの口振りから察するに、すごく酷いらしい。
ルキアはタオル1枚ではとてもリオンの体を拭ききれないと判断し、体を温めないと風邪をひいてしまうためお風呂に入れようとリオンを抱っこして部屋を出た。
「ルキア!リオンどこにいるか知らない?」
リオンの母親の声が1階から聞こえたため、ルキアはここにいると返して階段を下りた。
1階に下りるとリオンの母親や村の大人達が集まっていた。何だか不穏な空気が漂っている。
「おばさん、リオンお風呂に...」
リオンの母親に言っている途中、リオンの体ががくりと揺れて後ろに倒れた。それを慌てて母親が支えてくれた。
「他の子も雨に濡れてから熱を出して倒れたの。ルキアは大丈夫?」
リオンを受け取り、リオンの母親はルキアを心配している。
今のところルキアは何とも無いため大丈夫だと答えた。
「あいつらが雨に何か細工をしたんだ!」
集まっていた村の1人の大人が声を荒げた。何やらこれからどうするのかなど、熱で倒れた子供達の話をしていた。
「外の雨も雷も尋常じゃない。川は増水して近くの村や町を流しているし、雨に濡れた子供達は熱を出して...」
「情報によると少し先の月下の村もそうらしい。雨に濡れて子供だけでなく大人も熱を出していると...」
話を聞いていると、リオンの母親はルキアの腕を引っ張って自分の家に行こうと言った。
村での話し合いは大人達だけでやるのがこの村の決まりだ。子供は話し合いをしている家にいてはならない。
「分かった...」
ルキアは頷き、家の外に出た。
ここへ来た時は事態も何も良く分からず、ここが何なのかさえ分からなかった。良く見れば不思議な空間で、魔族の領土と似たような感じがする。
そして、絶対に交わる事の無いはずの黒の魔力と白の霊力が調和しているのが感じ取れた。
「ルキア、どうかした?」
リオンの母親はもうリオンと一緒に家の中に入ったようだ。声を掛けてくれたのはルキリアの母親。
ルキアとリオン、そしてルキリアの母親は全員姉妹である。他にも兄弟がいる。
「ルキア!あんたもお風呂に入りなさい、熱出されても困るから」
また隣の家の玄関先でそう言うのはルキアの母親である。
ルキアは分かったと返事をすると、母親のいる方の家に入って着替えとタオルをもらってお風呂に入った。
[ 34/41 ]
[*prev] [next#]
[戻る]
あれから数日。
ルキアはずっとヴァイスを想って泣いていた...。
ここは太陽村の地下深く、長の持つ魔力と昔この村にいた巫女の霊力により造られている空間である。地上にある太陽村が再現されている。
人間たちは魔族を白の力を使い滅ぼした後、何処からかこの太陽村の者達が魔族と人間の間に生まれた者の住む村だと情報が流れた。そのため今、太陽村の者は人間に狙われている状態であると床に伏せている長に聞いた。
「ヴァイス...」
長の家の3階のルキアの部屋。
何度彼を呼ぼうとも、来てはくれない。前は呼ばなくても毎日のようにほ来てくれていたのに...どうしても傍に来てくれない。
あの自分を我と呼ぶ、低い声。あの上からものを言う...ヴァイスの不器用に優しい腕に抱かれたい。
「お姉ちゃん外が大変なの...」
いつの間にか従妹のリオンが部屋のドアの所で不安そうな顔をしていて、ルキアのもとへ来た。今は太陽村の者にとって危険な外へ出てきたのか、リオンは頭からずぶ濡れである。
ルキアは涙を手で拭うと、近くにあったタオルを手に取ってリオンの体を拭いた。
「外、雨が降ってるの?」
「うん。すごくいっぱい...ずっと降ってて止まないの...雷もずっと」
リオンの口振りから察するに、すごく酷いらしい。
ルキアはタオル1枚ではとてもリオンの体を拭ききれないと判断し、体を温めないと風邪をひいてしまうためお風呂に入れようとリオンを抱っこして部屋を出た。
「ルキア!リオンどこにいるか知らない?」
リオンの母親の声が1階から聞こえたため、ルキアはここにいると返して階段を下りた。
1階に下りるとリオンの母親や村の大人達が集まっていた。何だか不穏な空気が漂っている。
「おばさん、リオンお風呂に...」
リオンの母親に言っている途中、リオンの体ががくりと揺れて後ろに倒れた。それを慌てて母親が支えてくれた。
「他の子も雨に濡れてから熱を出して倒れたの。ルキアは大丈夫?」
リオンを受け取り、リオンの母親はルキアを心配している。
今のところルキアは何とも無いため大丈夫だと答えた。
「あいつらが雨に何か細工をしたんだ!」
集まっていた村の1人の大人が声を荒げた。何やらこれからどうするのかなど、熱で倒れた子供達の話をしていた。
「外の雨も雷も尋常じゃない。川は増水して近くの村や町を流しているし、雨に濡れた子供達は熱を出して...」
「情報によると少し先の月下の村もそうらしい。雨に濡れて子供だけでなく大人も熱を出していると...」
話を聞いていると、リオンの母親はルキアの腕を引っ張って自分の家に行こうと言った。
村での話し合いは大人達だけでやるのがこの村の決まりだ。子供は話し合いをしている家にいてはならない。
「分かった...」
ルキアは頷き、家の外に出た。
ここへ来た時は事態も何も良く分からず、ここが何なのかさえ分からなかった。良く見れば不思議な空間で、魔族の領土と似たような感じがする。
そして、絶対に交わる事の無いはずの黒の魔力と白の霊力が調和しているのが感じ取れた。
「ルキア、どうかした?」
リオンの母親はもうリオンと一緒に家の中に入ったようだ。声を掛けてくれたのはルキリアの母親。
ルキアとリオン、そしてルキリアの母親は全員姉妹である。他にも兄弟がいる。
「ルキア!あんたもお風呂に入りなさい、熱出されても困るから」
また隣の家の玄関先でそう言うのはルキアの母親である。
ルキアは分かったと返事をすると、母親のいる方の家に入って着替えとタオルをもらってお風呂に入った。
[*prev] [next#]
[戻る]