「大きくなったらプロ野球選手のお嫁さんにしてやるよ」
なんてことをぬかしていた私より背の低くて手を握るとフニフニした感触が愛らしい幼なじみは、気付けばみんなの人気者となっていた。私の鳴ちゃんだったのに、なんて思う暇もなく距離は開いていき、学校が違うというだけで会話をすることもなくなり、卒業してほどなくしてから鳴ちゃんがプロ野球選手になっていたことをテレビで知った。
何気なしにつけたテレビを見るとちょうど野球の試合が終わったところで、どうやら優勝を賭けた試合だったらしい。MVPと称された選手が、インタビューを受けている。
「誰に一番伝えたいですか?!」
「えーっとねえ…多分本人は憶えてないと思うんだけど……」
最後に見かけたより数倍大人っぽく格好良く育ったその人は、色素の薄い髪を光らせてあどけなく笑った。
「プロ野球選手になったらお嫁さんにしてやるって言ってた幼なじみにプロポーズしまーす」
「?! 成宮選手、確か恋人はいないはずじゃ…」
「うん、だから今から告白するの。じゃ、応援よろしくー!」
朗らかにそう言ってのけてカメラに背を向けたその人は、インタビュアーが引き止めるのも気にせず遠くへ駆けて行った。
携帯に数年ぶりに表示された鳴ちゃんの文字に、泣きながら応えるまで、あと数分。