アイラブユーは届かない

「御幸って性格悪いよね」

だから友達いないんだよ。そう言うと目の前の御幸は、いつもみたいにからかうようにして笑った。

「いるじゃん、友達」
「野球部はナシね」
「うん。お前」

思わず「は?」と声をあげた。御幸は酷いと非難するけど、どう考えても酷いのはお前じゃないか。呆れかえってため息を吐いたら、御幸に幸せが逃げるぞと言われたが、幸せを逃す手伝いをしているのは御幸だ。

好きな人がいた。その人のために青道を受けた。正直にそう言ったら、偶然前の席だった御幸は、同じ野球部だから手伝ってやるよと言ってきたのだ。
私はその好きな人のためなら、なんだって利用しなければと思っていたし、クラスメイトが優しくそう言ってきてくれたのに、断るなんて優しくないことができる人間でもなかった。だから、好きな人と同じ野球部だった御幸に協力してもらうことにした。したのに、こいつは私の書いた所謂ラブレターを渡さなかったのだ。

「渡すって、言ったじゃん」
「ああ、言ったな」
「渡してないじゃん」
「そうだな」

卒業式の日、私は先輩の返事が聞きたくて校門で待っていた。卒業式の日に、返事を聞かせてくださいと書いたからだった。けれど、先輩は涙を流す可愛らしい恋人と腕を組みながら、私を素通りして帰って行った。

「渡しても、フラれるだけだったろ」
「‥だから、何」
「好きな奴の哀しむとこなんて見たくねーじゃん?」
「そんなの、理由になってない」

そんなの、全部エゴじゃないか。渡さない方が自分のためになるからって、私の気持ちまでなかったことにしないでよ。自分の愛が届かないからって、私の愛まで届かないようにしないでくれよ。自分が御幸の立場だとしたらきっと同じことをするだろうと考えたら、余計に腹が立って、目の前の大嫌いな友達に泣きついた。
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