相生

なまえとは生まれた時からずっと一緒だった。誕生日も近く、生まれてすぐに隣のベッドで寝あったような仲で、何の気兼ねもなく後腐れもなくずっと共に過ごしてきた。東京行きを決めた時も当然のように同じ電車に乗っていて、困惑しながらも進学先を聞けば青道だと言うのだから、俺はこの先何年経っても彼女とずっと一緒にいるのだろう。そう確信していたし、盲信していた。

「大学行かねえ?!」
「うん、専門通おうかなって」

あっけらかんと言いのけたなまえに、俺は机を叩き抗議する。

「なんでだよ!」
「なんでって、なんで?」
「なんでもだよ!今までずっと一緒にいたってのに‥!」

つい昨日まで、なまえは俺と同じ大学に行くと言っていた。言っていたはずなのに、突然進学先を変えた。わけもわからず思ったままに抗議していると、なまえはひどく冷静に、静かに諭しながら、窓越しに外を見つめた。

「栄純に夢があるようにさ」
「‥‥え、」
「私にも夢があるの」

外を向くなまえの顔が、太陽の光で白くなって見えない。腕を引き寄せてこちらへ向かせたはずなのに、彼女の表情が、わからない。

「‥夢って、なんだよ」
「応援してくれない?」
「っ、それは‥‥!」

納得がいかないのに、なにも言い返せなくて、それが余計に、目の前の一番長く時を共にしてきた友達が、どこか遠くへ離れていってしまう気にさせた。

一緒に生まれて一緒に育った彼女は、一つの根元から二つの幹に別れるように、俺とは別の道を歩き始めてしまった。きっとこれが当然のことで、なまえ以外とは当たり前のように繰り返してきたことのはずなのに、どうしてこんなに息苦しいのだろうか。
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