みゆきちゃんと仲直り
なんとなく気まずい気持ちのまま、私は自分の席で購買で買ったコロッケを口にした。そこへ気まずい気持ちの元凶である御幸が、へらへらと腹の立つ顔をしながら椅子を持ってやってきた。
「まだ機嫌わりーのかよ」
「‥別に!そもそも友達じゃない人には関係ないですけど」
「はは、悪いじゃん」
知ったことかとでも言うように、御幸はそのまま椅子に座った。いつもは自分の席から話しかけてくるくせに、なんだよ。自然と口を尖らせてしまっていると、御幸に指摘されたので突っ伏した。
「でもお前だって俺と初めてした会話、忘れてんだろ」
「は?初めて、って‥‥」
「お、隣苗字じゃん。よろしく〜」
あの後、事あるごとに話しかけられて、うっかり口が滑ってうざいと言った気がする。まだそんなこと根に持ってるのか、と半ば面倒な気持ちで御幸を見上げれば「多分お前が考えてるの2回目の方だから」と否定された。
「え、席替えした後じゃないの」
「ほら忘れてる」
「う」
「だからほら、おあいこな」
そう言って御幸は弁当の風呂敷を広げたかと思うと、「こっちは誰の分でしょう」ともう1つ弁当箱を出して見せた。バカ野郎、私が弁当なんかでつられて許すと思ってんのか。そもそもあれが初めてした会話じゃないなんて御幸の嘘っぱちかもしれないでしょうが。まあ弁当はありがたくいただくけど、許すなんて言ってないからな。‥美味しい。美味しいけど!
やんわりと気まずかった気持ちが溶けていくのを感じながらも、私はさっき御幸が言った"初めてした会話"というのが頭から離れないでいた。
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