悪友二号と与太話
俺の席は最後尾、窓から三番目の何の変哲も無い場所。
席自体には何の不満もないが、問題はその左方にいる二人組‥の、今回は苗字の方。
「倉持くん聞いてください」
「聞きたくねぇ」
「昨日さあ‥」
「勝手に話すのかよ!」
居ない御幸の席を勝手にぶんどって俺の机の横にずり寄せたかと思うと、いきなりそう話し始めた苗字に、思わずため息をつく。
どうせ御幸のことだろ、と思っていたらその通りで、御幸が、という言葉の続きを待った。
「なんか名前で呼んできたんだけど‥」
「‥‥‥‥‥あ?」
一瞬投げかけられた言葉の意味ができず、眉をひそめる。苗字は両手を叩きつけて大きな音を立てながら、青ざめた顔で顔を寄せてきた。
「普段苗字とかお前とかなのに急〜〜になまえちゃん☆とか言ってきて鳥肌ぶっわーーーってなってほんときもくてヤバかったんだから!!!」
「え、お前ら普段名字呼びだっけ?」
「そうだよ!!ちゃん付けすることはあっても名字にだよ!!!ハーーーーーーッ今思い出しても鳥肌ががが」
目の前で大袈裟に身振り手振りをして気持ち悪さをアピールする苗字を見て見ぬ振りをし、昨日の御幸を思い出す。
もしかしなくても、昨日苗字がかつての同級生と仲良く談話していたからだろう。昨日珍しく早く教室から出てきたのもそのせいだと思ってたけど、も。
「その嫉妬に付き合わされる身になれっつーの‥」
「え、なに?シドニー?」
「言ってねえよアホ」
帰ってきた御幸に当たられるのはごめんだと、なおもしつこく何と言ったのか問いただしてくるこの元凶を、席に追い払った。
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