みゆきちゃんの後出し攻撃
「‥おはよ」
「お、珍しく早いじゃん」
「嫌な夢見て‥」
思い出すだけで鳥肌が立つので、思わず腕をさする。目の前の御幸はまるで何も悪いことをしてませんとでも言わんばかりの笑顔で、私に尋ねてきた。
「どんな?」
「お前だよ!!!!!」
「いでっ!!」
「‥‥ってできたらどんなに楽か‥」
「ん?」
「腹いせに御幸に腹パンキメたいって話」
「はっはっは、遠慮するわ」
「遠慮すんな」
苗字のパンチ地味に痛えんだよと腹をさする御幸に、思わず目を丸くした。
なんだいつも通り名字呼びじゃん。
いっそあれも悪夢の一部だったのかとさえ思うレベルにあっさりと名字を呼ばれ、拍子抜けしてしまった。きもすぎて夢にまで見た私は一体なんだったのか。
「そうそう、御幸ちゃんはそれでいいんだよ」
「?」
▽
その後、特に何もなく1日は終わり放課後となった。
用事があるのでさっさと帰宅準備を終えた私は、お辞儀もそこそこに鞄を背負いあげる。
「じゃあね!」
「おはやい登下校で」
「朝は悪夢だけど!!もうちょいしたら好みのモデルさん出演のドラマがある!今御幸と話してあげてる時間も惜しいくらい楽しみ!」
「ひっで!」
ワクワクを抑えきれずに横を駆け抜けようとした瞬間、御幸はわざとらしく耳に顔を寄せたかと思うと、笑いをこらえたような声で囁いた。
「じゃあな、なまえちゃん」
「!!!!!」
ぞわぞわと駆け抜ける悪寒。立ち上がる鳥肌。そして青ざめる私。
それらを楽しそうにヘラヘラニヤニヤと笑いながら去っていく御幸を尻目に、私はようやくからかわれているのだと気付いたのだった。クソ、今に見てろ!
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