みゆきちゃんと倉持くん
「はい、昨日の」
「おー」
昨日借りた野口さんを御幸に手渡そうと思ったものの、愛しの英世との別れは、想像以上に耐え難いものだった。別れが辛く愛しの英世‥と見つめ合っていたら、御幸に「諭吉の方が好きなクセに」と笑われた。諭吉への想いは一方通行なのよ。愛し合ってるのは英世だけ‥
「なんだ御幸、カツアゲか」
「な訳ねーだろ」
「倉持くん助けて!御幸にカツアゲされる!」
「演技派だなおまえ!」
倉持くんの後ろに隠れて野口さんを懐に入れようとするも、倉持くんにそれを阻まれる。う、裏切ったな倉持ィ!
「ヒャハ、一年前なら助けてたかもな」
「倉持くんは一年で変わってしまった‥」
「俺が悪いみたいに言ってんじゃねーよ!」
渋々野口さんを御幸に手渡すと、御幸が真顔でじっと見つめてくる。返したことがそんなに意外だったのかこいつは。そう思って元から返すつもりだったからねと言ってみたものの、御幸の反応は薄い。どうしたんだ。
「みゆきちゃーん?」
「‥え?」
「要らないの?野口さん」
「いや、いるけど」
そそくさと野口さんを直したかと思うと、御幸は倉持を一瞥してから再度私を見る。随分今日は無口だなと思ったままにそう言えば、「倉持の言うことは聞くんだな」と的外れな返答が返ってきた。
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