任務完了後、いつものように俺は畑に向かった。
けれどいつもより時間が遅くなってしまったかもしれない。ブラッドのみんなは用事があるらしく、一人で任務をこなしたのだ。
任務自体の難易度はそれ程高くなかったが、何分敵の数が多かった。敵を倒し終えた頃には、辺りは茜色に染まっていて、日は沈みかけていた。
それでも、自分から決めたことだ。畑作業をおざなりにすることは頭にはなかった。
作業を終えた頃には、夜の帳が下りていた。一休みしようと家の扉に手を掛ける。
すると、銃声のような音が6回、小さな紙吹雪とと共に鳴り響いた。
『お誕生日、おめでとう!!!!』
そこにいたのは、満面の笑みを浮かべたナナ、ロミオ。ギルにシエル、リヴィ……そして、隊長、なまえの姿だった。
「ジュリウス、遅くまでお疲れさま!いや〜でもおかげで間に合ってよかったよ〜」
「そうそう!誰かさんが余計な茶々いれるから」
「そういう誰かさんも一度飾り付けを半壊させたけどな」
「まあいいじゃないか、無事に間に合ったのだから」
いがみ合うロミオとギルを尻目に、状況把握をしようとシエルに声を掛ける。
シエルは嬉しそうな顔をして、恥ずかしそうな顔をして後ろに隠れていた隊長を引っ張ってきた。
「今回のことは、隊長が発案者なんですよ」
「隊長が……?」
「ジュリウスにたくさんのお礼がしたいって、私達をまとめてくれたんです」
シエルは隊長の背中を俺の方へ押して、ロミオとギルの仲裁に向かった。それを見送ってから隊長に声を掛ける。下を向いてしまっていた隊長は、ぐりんと首が曲がってしまいそうなほど勢い良く、大げさに俺の方に顔を傾けてみせた。
「…ジュリウスが、ジュリウスのがんばって得たもの全部を黒蛛病患者さんのために使うなら」
「!」
「………私は、私の全部は、ジュリウスに使おうって、思った…今日は、その第一歩なの」
「……ああ」
俺がいなくなる前とは違う、強い意志のこもった瞳。視線を逸らさないで、はっきりと、隊長は自分の意見を、意志を、俺に述べている。
「ジュリウスがみんなのために何かするなら、私が、私達がジュリウスを幸せにしようって、思って、…だから、その……」
「ああ……そうだな」
だんだんと語尾が小さくなっていく隊長に小さく笑いがこみ上げてくる。とうとう固まってしまった隊長に、後ろからロミオが肩を組みに来て、ナナと共に励ましていた。ギルとリヴィがやれやれといった表情をしていて、シエルも俺と同じように、ちいさく微笑んでいた。
「…………ありがとう、なまえ」
困った顔をしていた隊長が、顔を赤らめて此方を見る。と同時に、ロミオや他のみんなも俺の方を向いた。一人一人の顔を順番に見ていく。口が緩むのを感じる。……ああ、本当に、俺は。
「俺は、お前達とこうして過ごせて…本当に幸せだ」
だからこの世界を、これからも守りたいと思えるんだ。
お前達と笑い合える、この綺麗な世界を。