The first day
拝啓、母上様父上様。私には心から信頼を寄せている友人がいます。
その友人は私の決めたことなら自分がどれだけ哀しくても私の意見を尊重してくれ、困った時には力になってくれるとても心強い存在です。
と同時に彼女もまたこうと決めてしまうと私の意見を聞き入れてくれないこともままあり、似たもの同士だなとお互いを笑い合っています。
しかし笑い事では済まないこともあります。
今も絶賛、笑い事では済まない、とてもとても困った提案の真っ最中だったりするわけで―――…。
「焦れったいのよ!!!」
机をドンと大きな音を立ててそう叫んだ紅玉に、私は本日何度目か分からない苦笑を浮かべた。
「なまえとジュダルちゃんときたら、まったく進展がないんだから!」
「そう言われても…!」
「ジュダルちゃんが好きなんでしょう?!ならもっと押して押して押しまくるべきよぉ!」
「そ、そうかなあ…?」
あーだこーだと私とジュダルの関係に野次を飛ばす紅玉。どうやら、仲良く一緒に帰ってきたにもかかわらず、帰国後は特に何もない私たちにやきもきしているらしい。
「あの頃は私となまえの取り合いをするくらいだったのに、今ではこんな簡単になまえと過ごせるなんておかしいじゃないっ!!」
「私は紅玉ちゃんと過ごせて嬉しいけどな…」
「私も嬉しいわよぉ〜〜!!……けど、私だけじゃ、意味がないんだもの……」
「紅玉ちゃん……」
ジュダルが私に構ってくれていたのは、シンドバッドさんの惚れ薬のせいだった。今ジュダルが私に構う理由は、全くない。確かにそれは少し寂しい。……ううん、少しじゃなくて、すごく。すごく寂しい。
「大体ジュダルちゃんもジュダルちゃんよ!」
「ジュダルも?」
「そうよ!ジュダルちゃんったら、なまえがいない間ずっと機嫌が悪ーーー………」
「おいババア!!お前ふざけたこと言ってんじゃねえよ!!!」
紅玉の言葉を遮るように、窓から突然絨毯に乗ったジュダルが部屋に入り込んでくる。あまりに大きな音を立てて入ってきたせいか、紅玉が何を言っていたのかわからなかった。
「なまえ!ババアの言うことなんて信じんじゃねーぞ!」
「なによぉ本当のことでしょぉ?!」
「ババアは黙ってろ!!」
「……二人とも、仲良くしようよ…!」
……母上様父上様。私は今、とても優しい友人たちと共に過ごしています。しかしその友人たちはどうも、一筋縄ではいきそうにありません。
母上様父上様の調子はいかがでしょうか。
私はこれから、よりいっそう精進してかからねばという心持ちでございます。敬具