The third day
心地よい温もりの中で、少女はすやすやと寝息を立てていた。
何処からかふんわりと甘い桃の優しい香りがして、彼女は思わずその温もりに擦り寄った。
…と同時に、何故自分がその温もりに包まれているのかを悟った少女は、思わず悲鳴を上げた。
はじめましてこんにちはこんばんは、じゃないやおはようございます。
目の前にとてつもなく綺麗なお方が寝ていらっしゃったので思わず悲鳴を上げてしまいました。
目の前のそれはそれは綺麗なお方はビックリして私の顔をぽかんと見つめています。お恥ずかしい。
「な、なんだよ急に…なんかあったのか?」
「ななななんでもないです!!」
綺麗なお方ことジュダルちゃんが心配そうに尋ねてきたので慌てて顔と手を振ったら睨まれた。
もしかしてそんなにうるさかったのだろうか。確かに眠っていたところを起こしたのは申し訳ないけども…
あ…そうじゃなくて、敬語、か。
昨日確かにそう言われたのを思い出して、少しくすぐったくなった。
彼の瞳は、確かに私だけを映している。
「なんていうかその、起きたらジュダルちゃんが横にいてびっくりしたというか…」
「……あーそっか、お前結局絨毯の上で寝てたもんな…」
まあ寝顔可愛かったけど、と付け足すジュダルは特に気兼ねもなく言っていて逆に恥ずかしくなる。
思わず下を向くと私の顔を覗き込むようにして顔を近づけてくる。
この人は昨日から私の羞恥心を煽るようなことしかしなさすぎて若干涙目になる。
「なに下向いてんだよー照れてんのか〜」
「や、近い近い!近いって!」
「…そんなに、嫌か?」
「!」
お得意の涙目を浮かべたジュダルは、実際に見るといつも見ていた彼より数段可愛く見えて、
そして何処となく扇情的で、あまりの愛らしさに涙が出そうになる。
感動だ…まさかジュダルちゃんが私にこんな表情を向けてくれようとは……!
「可愛い…!もうほんっとジュダルちゃん可愛いよう…!」
「………なまえ…」
「ジュダルちゃんのほっぺやわらかいねえ…かわいいねえ…」
ごくり、とすぐ近くで息を呑む音が聞こえて、思わず抱きついていた身体を離し、はっとした。
ジュダルちゃんは期待に満ちた眼差しでこちらを見ている。そ、そんな純粋に満ちすぎて逆に悪意の篭った瞳はやめて…!
「おまえ、そんなに俺の事好きなんだな」
「………っ…(く、可愛すぎる…!)」
彼のしている表情は私が雑誌で読んで一目惚れしてしまったジュダルちゃんの表情とまったく同じで。
…いや、それ以上に愛らしく楽しそうに妖艶で。
「なんでこっち見ないんだよー、そんなにちゅーしてほしいのか?」
「!!!!!」
「顔真っ赤。かっわい…」
「あっああああの、ジュダルちゃ…」
視線を逸らしつつそっと開いている方の手で抵抗しようとしたものの、その手も優しい彼の手につながれる。
なんかこのままでは色々と危ない気がしてたまらないけれど、私にはどうすることも出来なかった。
「ジュダルちゃん、ちょっといいかしらぁ?」
「!!」
「……紅玉…」
けれど、突然現れた練紅玉姫に助けられることになったのであった。
「邪魔してんじゃねえよババア!」