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人間体になる実験を選ばれたのはゴールドマスクであった。
リカルドさんの新しい試みらしい。
「俺どうなんだろう、兄貴…」
「人間だな」
「そうじゃなくて!カオ…俺のこの姿見て…嫌いにならねえかな」
ゴールドアームの目の前にいる青年は中身はマスクである。兄としては変な気分だが、やはり中身はマスク。女のことを気にする弟は、いつも人間の様だと思っていたが、今ではすっかり見た目も人間だ。
「ゴールドアームさん!マスク知りません?」
そこへやはりやって来たのはカオで。
マスクは人間の姿に不安しかなく、アームの背後に急いで隠れた。
「マスクなあ…知っていると言えば、知っているし、知らねえと言えば、知らねえなあ…」
「マスク、変なんですよ。しばらく会えないかもしれない理由は聞くなー!ってそれっきり」
カオが悩ましい表情をしているところ、人間姿のマスクはアームの陰からチラチラと覗き見る。名乗り出たいが、こわすぎる!と、マスクは二の足を踏んでいた。
アームはそんな様子の弟に気がつき、ちょっとからかってやるかとほくそ笑む。
「カオ、マスクのどこに惚れたんだ?」
「えっ」
兄貴!とマスクは脳内で悲鳴をあげる。
しかしこんなことは聞くチャンスがあるわけでもなく、ちょっと聞いてみたかったりするマスクなのであった。
「マスクの…」
「嫌いなのか?」
「大好きです!でも、どうしてって言われると…ええと…」
緊張しながらも、マスクは答えを待つ。
大好きです!というのは、アイアンリーガーの身体のままであれば音声映像共にメモリー保存していただろう。
「優しくて、マスクは。あと、かっこよくて、本人は気づいてないかもしれないけど、かわいいところもあって。正直で。心が豊かって言うんですかね、一緒にいるとあったかい…落ち着きます」
「マスク聞いてるか?褒められてるぞ」
「な、兄貴!」
マスクの首根っこを掴み上げ、アームはカオに突き出した。
キョトンとするカオの前に現れたのは真っ赤な顔の青年。
「アームさん、あの…」
「マスクだ」
「カオ…俺だ」
******
カオは最初は信じられない様子であった。
「本当にマスクなんだ…」
そう言いながら、カオはマスクの髪を触る。普段と違う目線の高さ、触られることの違和感、マスクはソワソワとするばかり。
「なんだか変な感じだな」
「普段は大きさが全然違うものね」
普段の大きさならば、手を包み込まれることはないだろう。マスクの手を包み込むようにカオは手を握った。いつもより小さいなと、カオはそれを確かめているだけなのだが、マスクは鼓動が速くなってしまう。
「マスク、人間になったらしてみたかった!なんてこと、何かないの?」
「考えたことねえなあ…」
言われてぼんやりとマスクは考えてみる。
チラ、と目にするカオの姿。人間の体でしてみたいこと…そうだ今ならカオとあんなことやこんなことやできると考えがよぎる。思わずマスクはデレデレと顔が緩んでしまった。
「私がもしマスクの立場ならやりたいことたくさんあるけどな」
「カオが?」
「人間のゴハンを食べるとか、人間サイズの乗り物に乗るとか、海に行ったりとか!」
「な、なるほどな!」
不純なことしか考えていなかった!
「人間だったら、寝ることもできるね!マスク布団で寝ないから新鮮な感じだと思うよ」
「それだ!一緒に寝てくれカオ!」
パン!とマスクの頬に平手打ちが決まった。
アイアンリーガーの身体の時ならばこんなことにはならなかっただろう。マスクの頬は真っ赤な手跡が残った。
「寝るだけなのに…」
「ダメ!」
「じゃあじゃあ、風呂は?俺湯に浸かってみてえな!カオも一緒に…」
「マスクの変態!スケベ!そんなことばっかり!」
「なんでだよ!」