17
突然の土砂降りだった。
ゴールドフットとカオは、痛いくらいの大雨に、橋の下に避難をした。川沿いを歩いていたのだ。
「フット、はい!」
カオはカバンからハンカチを取り出し、フットに手渡そうとする。
しかしフットは「俺はいい」と断った。
「錆びちゃうよ」
「そんなにすぐには錆びたりしねえよ。お前が風邪ひくのはすぐだろうがな」
カオはハンカチで顔を拭きながらフットの声を耳にいれていた。
ある程度拭き終わると、カオはフットの顔の雨を拭う。
「な、自分でやる!」
「手伝わせてよ、お願い」
とん、とん、とカオの手に動かされて水分を吸ってゆくハンカチ。
フットはフンッとそっぽを向くが、ほんのりと赤みがさしていた。夕日のせいではないだろう、空にはまだ雨雲が居座っていた。
「雨やまないね」
「俺だけなら走って帰るがな」
「そうしても良いけど、どうする?フット、忙しいでしょう」
「いや、いい」
口にはしないが、フットはカオと雨宿りすることを望んでいた。
ドカリとフットは地べたに座る。
それを見たカオは隣にハンカチを置いて、そこに座ろうと、再びハンカチを出した。
「あー、まて。汚れんぞ。ここ座れ」
ここ、と指差されたのはフットの足。器用に足を組んで、胡座をかいている足。
普段から何かと騒ぎ立てたベタベタとするカオだが、フットから言われることには何かと弱かった。
「ふつつかものですが…」
「ばーか」
恐る恐ると足に座ると、なるほど硬い。
初めてではないが、なかなか座り心地がいいものではない。鉄は冷たくなっていた。
「あのね、フット」
「また馬鹿な話じゃねえだろうな」
「好きよって話」
「俺も好きだ」
「うん、だからね…」
カオは目を見開き話を止める。
さらりと素直に好きだなんて、本当にフットだろうか?
「フット今日熱でもあるんじゃない?」
「かわいくねえやつだな!…たまには、とか…思ったんだよ。悪いかよ!」
「悪くないけど」
この空気どうしてくれる。
言っておきながらフットは顔が真っ赤だし、自分もいつもの調子ではしゃぐことができない。
髪の毛を縫うようにフットの指がカオの頭を抱える。
すると音も立てずに口と口が重なった。
フットの口は思っていたほど機械のようでは無くて、不思議な感じ。人間のカオの口は小さすぎてよくわからないとフットは思った。
いつのまにか雨は止んだが、二人はしばらく橋の下で過ごした。