06:午後2時の睡魔
うわ怒ってるよ。とラットルはデプスチャージに聞こえないようにぼやく。デプスチャージの怒りが潮を引くことはなく、雰囲気が悪い。
自分の身体が直ったかと思えば、名前がいないのだ。またあのエックスのところへ向かったのだろうと思うと、腹が煮え繰りそうであった。
殺されるかもしれない。人質にされるかもしれない。そんなことよりも、気にくわないエックスがカオにベタ惚れしていることが気に食わないのだ。
日に月に不安が募る。
まだまだ自分たちのような生命体のことを知らないカオは危なっかしい。
特によく歴史を知っているわけでも無いし、どんなことが起きていたか知っているわけでも無い。
だからこそ愛想を振りまきすぎなのだ。
サイバトロンにとってデストロンは敵対象でしかないが、カオは違う。
どちらにも正義や、肩書きや、思い入れが無いのだ。そのためにデストロンと仲良くしなさいと言われれば仲良くするだろう。
「カオはどこだ」
「またおっさんの過保護が始まったよ!そりゃあ心配はオイラたちもしてるけどさー。ちょっとくらい一人になりたいときもあるって!」
むう、と唇を噛む。唇は無いのだが。
「もしカオに何かあれば罷りならぬ」
「何かって何だよ。あのチョッキンナーにお嫁にもらわれちゃうとか?」
それは絶対に許されない。絶対に。
デプスチャージはそんなことになればどうなってしまうのだろう、とラットルは想像をする。恐ろしくて言葉にならない。
「それなら俺がもらうジャン!」と横入りしたチータスはデプスチャージに撃たれた。バカも休め休め、そして休め。
場を和ませたかったチータスはわけのわからないことを言いながら転がりまわった。
ただいまと帰ってきたカオが最初に見た風景はそれだった。
いつものようににぎやかな場に、何があったかは頭が痛くなるので聞かないが、チータスがバカなことをしたのだろう。
デプスチャージはカオの顔を見ると直ぐに近寄り、怪我はないか、危険なことは無かったのか、と質問攻めをした。
「危なくなったらデプスチャージが来てくれるんでしょう。そんなに心配してくれているってことは」
「む。もちろんだ。だが調子に乗るなよ、吾輩にもできないことはある」
「ありがとう。ちゃんと声をかけてから出かけます」
お父さんみたいジャンとまたチータスの一言ににぎやかな劇が始まった。
シルバーボルトは密かに「はたしてお父さんなんでしょうか、恋人では?ラブ!では?」と考えがもんもんとしていたが、その答えはまだどこにもない。