07:午後5時の誘惑
柔らかかった。
あれからランページはますますカオが気になって仕方がなくなった。
どうしたらパタパタ犬と蜘蛛女のようにラブタイフーンできるのかと考えてはチョッキン、どうすれば好かれるのかと悩んではチョッキン。
人を痛ぶったり苦しめたりすることが好きであったが、カオは別だ。笑って欲しい。あの笑ったときのへたへたした感じが好きでのうとランページは海に向かって話しかけた。
喧嘩しないでとミューちゃんは言っていたが、そんなことができるのであろうか。自分に。
「はあ…好きじゃ…」
「何が?」
ランページはそれはもう口からスパークが飛び出しそうなほど驚いたという。
思いを馳せていたところ、カオがいつの間にやら隣に居たのだから。
「驚かせるんじゃないわい!もう少しでスパークがちょきんなー!するところじゃ!」
「そんなに驚かなくても…ごめんね」
「な、なんじゃ…その顔はやめんか。どうもミューちゃんを思い出していかんのう」
悲しげな顔はして欲しく無かった。
「何じゃ、もう身体は直っとる」
「本当に?」
ぺたぺたと身体を触られてランページは焦る。やはり慣れない。
「触るな!どうもカオに触られるのは慣れん…その、嫌ではないんじゃ。ここが落ち着かん」
ランページはコツコツと自分の胸を叩く。
「ドキドキするんですか?」
「あー、そんな感じかもしれんのう。初めてじゃ、こんなこと」
「私もドキドキしますよ。おそろいですね」
へらりと笑った。
嫌な感じではないこのドキドキがおそろい?それで笑うということは良いことなのかもしれない。ランページは恐る恐る自分からカオを触ってみた。
「今わしは苦しいほどそのドキドキというもんが起こっとる。カオも同じか?」
「いいえ、きっと私の方がドキドキしています。ランページさんの手、ハサミじゃない時は優しい手ですね」
「わしの口がこんなにグロテスクじゃなかったら口付けしとるわ。嬉しいのー」
そう言うとカオはカニより赤くなって、「かまいません」とポツリ、目をそらした。
なんじゃい!冗談で済ますつもりが何だか良い雰囲気になっとるー!とランページはハワハワと心のナレーションを作った。
しゅじゅちゅ。
そんな言葉が脳裏をよぎる。
ランページは覚悟を決めて、ゆっくりカオに顔を近づけてゆく。
「ゴッツンコー!」と勢いよく地面から飛び出したインフェルノに吹っ飛ばされるまでは。
「良いところじゃというのにおどれ!」
「メガトロン様がお呼びゴッツンコ!そこの人間も連れてくるでゴツゴツゴッツンコー!」
なにィ?と聞く間も無く、ぶぅんと現れたワスピーターにカオは連れ去られた。
「それはわしのモンじゃ!」
「後輩のモンは先輩のモンなんだぶぅん」
ランページは今までにない程のスピードでデストロン基地へ向かったという。なんだ早く来れるんじゃねえかと自分が呼び出した時やりも早く来たカニにメガトロンは呆れていた。