10:午後11時の選択
あと少し、あと少しなんじゃ。
ランページはもだもだとする。
「カオ、わしのことをどう思っとるんじゃろうのー…。しゅじゅちゅ…ちゅ、ちゅーさせてくれそうじゃった。期待してもええんかのう…」
思い馳せるランページは誰が想像したであろう。恋煩いというのはこういうことなのかもしれない。
「ええい!考えておっても仕方がないわ!カオ!カオカオカオ!」
ランページは走り出す。じっとしていら れない。会って話せば楽になる、そう思いランページはカオの元へと向かう。
「カオ!好きじゃ!」
「出会って一番にそれですか」
カオは笑った。勢いよく飛び込んできたカニは、カニ体型からヘンシンすると、カオの方へ歩み寄る。
「ランページさん、また海にいたでしょう。しおの匂いがしますね」
「き、嫌いか?」
「好きですよ」
ドキ。
不意に出てしまった別の意味での好きという言葉でも、何だか照れる。
この好きという言葉が自分に対するものだったのなら良いのに。
しかしなんだか、カオの方も少し照れているようである。
言った方も言った方で、そんなつもりもなく言った好きでも照れてしまった。
ランページは感が良かった。もしかしたらカオも好きでいてくれているかもしれない。予感はしていたが聞き出すことは怖く、避けていた。だが今は限りなく真実味がある。
「わしのことはどうじゃ」
尋ねてみる。ランページはできるだけ目線が合うようにしゃがみ込んだ。
「好きですよ」
「それは皆に言っとる時の顔じゃ。わしの、わしだけのことじゃ」
「ばれてる」
「皆と同じ好きなら、わしのとは違うもんじゃ。わしの好きはカオだけじゃけえの」
カオは心拍数が上がる。ごくり。
全て心が読まれているようだった。
「私、サイバトロンも、デストロンも好きです。食べるのも好きで、寝るのも好きで。でも、ランページさんを好きなのはきっと、誰に何に対しての好きとも、違います」
「カオ」
「好きです、」