11:午前0時の鐘

それからカオは表情が変わったとランページは言う。ランページいわく、「何というか、輝きが増しとる」と。
それと、距離の取り方が変わったとランページは言う。ランページいわく、「くっついてくるんじゃ。かわいらしいのー」と。


「ランページさん、バナナもらったの。一緒に食べよ!」


ほら。ちょこちょこと走り寄ってくるカオは愛らしい。

「一人で食べればいいじゃろ。それともなんじゃ、ワケでもあるんかのー」

「意地悪言わないで!」

「仕方ないのう、カオはわしのことが好きじゃけえのー!」

わはは!と笑うカニ。
あんなに乙女のように悩んでいたカニはもう居なかった。最近では、「わしのどこが好きじゃ?」とか、「カオはどのくらいわしを好きなんか?」とかを聞く。

まったく、わかったからには調子の良いカニであった。

あんなに触ることも躊躇していたくせに、今では自分の方へ引き寄せる始末。

カオは嫌ではなかったが、恥ずかしくあった。こんなにお調子者だっただろうかと考えるが、調子に乗る…それほど喜んでもらえるのならば良しとする。


「チューもしてないくせにギッチョンチョン」

「ウヒャヒャ!腹が立つ…胸糞悪いッス〜」

ガヤがうるさくもあるが、ランページにはここしかカオとイチャイチャヨロシクできる場所は無かった。
サイバトロンの目に入るようなところだとあのエイ型ボディーガードに何をされるか。もしかすると、二度と会えないように引き離されてしまうか、体を引き離されてバラバラにされるかだ。


「ええい、ガヤがうるさいわ!おどれらと違ってカオはしおらしい奴やけえ、順序があるんじゃい!」

「順序順序って言いながら進まないのは言い訳ってことだブゥーン」

「発展ストップ!ゴッツンコ!」


喧嘩はランページにはつきものなのか。ガヤ芸人に絡まれては言い返し。さてどうして自室でイチャイチャヨロシクしないのかと問えば、自室は我慢できる自信がないとのことだ。なんのことやら。


「順序があるなら、次に行きますか…?」


そう言って目を閉じるカオに「や、な!べべべ別にこんなところでせんでもええじゃろ!いやしかしカオ…わしは…」とハワハワしどろもどろになるランページ。


しゅじゅちゅ。


しかしながら、しゅじゅちゅ、が成功したのはランページではなかった。


「はーい!ギッチョン!先にやってやったギッチョンチョンでブラァ!」

ずっと人間に興味があったのよねギッチョンチョンと元気にはしゃいでいるクイックストライク。
他より小ぶりなクイックストライクは二人の間を縫って割り込んで来たのだ。


その後のランページの暴れぶりは記録史に残るものであったと、タランスはゆったりとした口調で語る。


その後のその後、デプスチャージが爆弾を抱えるだけ抱えてデストロンに乗り込んで来たこともあったと、インフェルノによって書類にタイピングされた。