13:午前2時の衝動

目を覚ませばそこはデストロンの基地内であった。すっかり陽は沈み、夜深いのであるが、もともと暗い基地内ではカオにはそれはわからない。


「カオ、目ェ覚ましたんか」

「私どうしたんですか」

「笑えるのう。カオは頭ぶつけて倒れたんじゃ、あのギッチョンとかいういけ好かん奴に脅かされて飛び上がってのー」


そういえばそんなことがあったような。
ギッチョン…クイックストライクの部屋の掃除中に、誰もいないと思っていた部屋から飛び出してきたサソリヘビに飛び上がれば、足を滑らせこのざまだ。


「死んだかと思うたわ」

「ふふふ」


身体を起こせば、咄嗟に支えようとランページの手が動く。大丈夫だと合図をすれば、ふう、とランページはため息をした。


「人間は弱いもんじゃのう。なんで生きとるんか、不思議なくらいじゃい」

「弱い方が良いんじゃないですか。痛がるの見るの、好きなんでしょう」

「弱すぎて甚振る気にもならんわい。それにカオは他とは別じゃ」


ふふふとまた笑うカオは座位しているランページの足にもたれかかる。


「な、なんじゃ」

「良いじゃないですか。もう少し寝たいんですよ」

「何されても文句言われんからな」

「何しても良いですよ、カニさんなら」


寝入ったカオに手を出そうかと葛藤したが、ランページは手を頭の後ろで組み、自分も休むことにした。


「呑気な奴じゃ」


カニに睡眠時間というものは無い。
カオが起きるまで我慢大会となるために、カニの性質を恨んだりした。

しばらく静かに部屋に二人で篭っていたものだから、二人とも声が出ないほどの行為をしていたのかなどと問い詰められるランページがいたのはまた別の話である。