おはなばたけ

贈り物を、なんて似合わないと思う。
しかしながら摘み取ってしまった花はもう元には戻らない。

「カオ…」

名前だけ呼んで、ずいっと花を渡された。

「今日って何かの日でしたっけ?」

「普通の日じゃけど」

じゃあ普通の日に、お花もらったんだ、とカオは手で花をくるくると回しながら考えた。なんでだなんて聞かないが、何かあったのかもしれない。けれども、とても嬉しい。それはもう体がキューッと痺れるほどに。

「ありがとう」

パ!と笑うと、カニがグッとたじろぐ。
かわいい、と。

…ということがあったんだと、ランページは誰かに話したくてたまらなかったのか、惚気たかったのか、デプスチャージに喧嘩を売っていた。

「おどれはあんなカオの顔を見たことは無いじゃろう!」

「いきなりやって来てやかましいぞ!」

デストロンの連中に話せば馬鹿にされたり、何か気恥ずかしさがあるのでこうやってデプスチャージに思いの丈をぶつけてゆく。

「カオのかいらし〜い顔、あれは花より花じゃ…」

「お前の頭の中も花畑のようだな」

ランページとデプスチャージはしばらくどちらが花を摘み取れるかの競争が続くことになる。