Brise

「アレルヤだいすきー!」

そう叫びながらタックルをしてきたカオ。アレルヤはなんとか倒れないように持ちこたえて、カオを受け止める。

「アレルヤ!アレルヤ!」
「うん、うん」

アレルヤはどうどうと興奮しているカオをなだめる。これはいつもの風景なので、周りは冷やかすばかり。止める者は居なかった。

「ねえアレルヤ、今日はどこに行くの」
「別に決まってないけれど」
「それなら今日は私に付き合って!」

他に予定も無いアレルヤは頷く。カオは嬉しそうにぴょんぴょんと飛び跳ねて見せた。ああまったく元気だ。
思えばいつも中で会うばかりで、外出するのは初めてだとアレルヤは考えていた。アレルヤは特別、支度することも無いので、すぐに待ち合わせの場所へと来ていた。そんな時に考えることは考えなくても良いことが多い。

「アレルヤ!」

また元気な声が聞こえて、顔を上げると、少しだけいつもより粧し込んだカオがやって来た。
さあ行こうか、とアレルヤから声をかけて、街を歩く。カオはどうしても行きたいカフェがあるのだと言う。そこにたどり着くまでは街の様子をブラブラと散策する。
ところで、なんだか腕が寒いなあとアレルヤは思った。そうだ、カオの様子が外に出てから違う。普段なら、数メートルの移動でも腕にガッツリガッチリとくっついているのだが、今日はそれが無いせいだろう。カオはどこな緊張している様子で、手を強張らせていた。

「カオ、大丈夫?」
「え!だ、大丈夫…っていうか、大丈夫じゃない…」

どこか悪いのだろうかと、アレルヤは足を止める。するとカオも足を止めた、肩に力を入れたまま。

「実は、こういうのは初めてなの」
「無理しないで良いのに」

カオがガチガチの理由はとても簡単なものだった。

「でも、アレルヤとデートがしたかったの」

一生懸命に話すカオはとても愛おしかった。
いっぱいいっぱいながらも自分を見て欲しい一心で頑張っていたのが本当の彼女だったのだ。

「ゆっくりでいいんだよ」

アレルヤがそう言って手を繋げば、カオはフニャリと笑った。