おすいもの
「拾った」
そう、拾った。クイックストライクが拾ったのはカオ、人間である。
良いもの拾ったギッチョンチョンと持ち帰って来たクイックストライクは、メガトロンにカオを見せびらかす。「拾い食いはしちゃダメって言ってるでしょ」なんてメガトロンはあまり相手にしなかった。
人間がなぜここにいるのかわからない。だが人間1匹クイックストライクに遊ばれてすぐに死んでしまうに決まっていると考えていたからだ。それに女ひとりいたところで、子孫はできない。使うだけ使ってバラバラにでもされれば良いと考えていた。
しかしどうだろう、カオは1週間経っても生きている。はて。不思議なものです。
「クイックストライク、お人形さん遊びは楽しいかな」
何故だか一緒にいることが多い二人にそうやって話しかければ、クイックストライクの背後にカオは隠れた。やあねえ、と隠れたことにツッコむ。
「カオは俺様にしか懐いてないギッチョン」
「懐くって!あらまあペットにでもする気?」
「いんや、嫁にするギッチョンチョン〜」
雷に撃たれたようなショックを受けた。メガトロンは最近の若いもんの考えることはわからんと頭を抱え、フラフラと部屋を去って行った。
「わ、わたし、お嫁さんになるんですか…」
「いっぱいいっぱい子どもが欲しいギッチョンチョンでブラァ!」
「できるんでしょうか、メカニズム的に…」
「手取り足取り教えたげるからね〜」
そういうことではなくてとカオの言うことも聞かずに、クイックストライクはカオに頬ずりをした。
まだお互いのこともわからず、価値の違いや文化の違いもわからない二人がどうなるのかは宇宙にもバナナにもわからないのだ。
メガトロンは、もし子どもができたとしてもサソリとコブラと猿のミックスジュース。もうそれ人間じゃないでしょ、と生かす方向になった。