ai mama
発火。突然変異の私たちは隠れながら生きている。差別はなくならない。また、炎により人を傷つけるかもしれない。そんなことから、まるで洞窟の中のコウモリのような暮らし。
ああ帰ってきたんだ、とガチャガチャとした物音で知る。ゲーラはよくボスに尽くすし、頼りにされ、信頼されている。力も一般の人間とは比べられない。それでもやはり、外での活動は心臓に悪い。普通に暮らせたのならどれだけ心が休まることか。
「今日はどうだったの」
「いつも通りだ」
街を焼き、炎に応える。
「今日はカンヅメもらったの。食べて」
「要らん。お前が食え」
食べ物は貴重なもの。できる限り、強い人に回したい。好きならなおさら。
「俺は自分で調達する」
「そう…」
「あー」
「服のほつれ、直してくれや」
ゲーラは上着をおもむろに脱ぎ、ぶっきらぼうに、渡す。
「ボスにはこんなこと頼めねえだろ」
「うん、うん!」
ゲーラの服は、違う色の糸で縫われた。同じ色の糸が無くて、ごめんねと。あてぬされたそれが愛しく、すぐにわかる別の色があたたかい。
「それは」
「別にいいだろうが」
戦闘前、吸うように糸を愛でるゲーラにメイスは呆れながらも、彼らしさを感じていた。