モコモコ

クルーたちの好きな奴についての話になって。あいつはあれが好きだとか、あれはそいつが好きだとか、そういう噂話をした。別に、深く考えずに。まったく、うかつだった。

「シャチの好きな人はだれ?」

「!」

けろっと聞いてくるんだ。
噂話が楽しくなってきたカオの目はとてもワクワクしている。
それに反して俺は熱をこもらせて、どうしようか葛藤する。流れで言ってしまおうか!それとも、はぐらかしてしまおうか。

「おれのすきなやつは…」

「うん」

ぱくぱくと口は動くものの、言葉は出てこない。

まっすぐに見てくるカオが辛い。

「おれのすきなやつは…その、なんだ」

「わかったベポだ!」

え、と言葉を飲む。違うけど!と突っ込む前にカオはベポの良いところを言い続ける。

「ちょっと案外、ゴワゴワしてる毛だけど、抱きしめると気持ちいいよね!頑張り屋だし、私もベポだーいすき!」

「!」

何かが崩れる音がした。
その夜、ベポに乱暴に抱きついてモコモコを堪能してやった。モコモコ動物になる悪魔の実でもあれば、今すぐ食べてやるのに。