すもも
デデーン。
アウトの音。まさかまさかの遭遇。
ちょっと興味本位で、ドレークさんのお帽子が置いてあったので被ってみたところ、ドレークさん登場。
目を丸くしているドレークさんは口を開かない。何か言ってほしい。
「あの」
「いや、いい」
恥ずかしさが舞い込む。
ドレークさんは口元をおさえて少し俯いている。呆れたのか、怒っているのかわからない。大きな手が彼の表情を隠す。
「お返しします…」
帽子を取って机に戻せば、ドレークさんは顔をあげた。顔から手が離れて露わになったドレークさんの顔は、おだやかな顔をしている。おだやかな気がする。予想。
「おれも海兵の帽子を被っては喜んでいたものだ」
「ドレークさんが?」
無邪気な子供だったのだろうか。それとも喜んでいたのは大人になってからの話なのか。深くは聞かなかった、なんとなくドレークさんには昔のことを聞いちゃいけない気がしているのだ。話してくれる時は聞きたいが、こちらからは控えている。
「何をしていたんだ」
「ただ、被って、喜んでいました…」
ドレークさんは、フフ…と笑った。変態だとか、子供くさいとか思われたのだろうか。恥ずかしくて、少し落ち込む。
「そう、こうべを垂れるな。笑ってすまない。カオは」
「変でしたか?」
「いや、愛らしい」
こんなにすぐ帽子が必要になるとは思わなかった。
帽子で隠したい、赤くなった顔を。