いきなりだったか

掃除洗濯炊事に肩もみ。
やってることがあまり奴隷と変わらないじゃないかと言えば、全く違うとカオは笑った。

「いい日だ」

「何が良い日だ。絆されてんじゃねえよ」

幼馴染がなぜだか毎日少女漫画でもしているかのような眼をしている。眼は見えないが、こう、気色の悪い雰囲気を醸し出している。昔こんな相棒を見たことがある気がする。そう、カレーうどんの。

「カオ、飯にしよう」

「でもまだ時間では…」

キラーはカオの肩を叩く。
そうすると、カオは頷き、キラーについて行くのだ。

「キャプテンは俺だぞキラー」

「飯は作った俺に権限がある」

舌打ちをするキッドにキラーは笑っていた。

「おいしい」

「もっと食うと良い、カオ」

「キラーさんは食べ…」

カオはキラーのマスクを見ると、言葉を飲む。どんな時でも、このマスクを外したところは見たことがない。

「素顔は見せられないんでしたね、すみません」

「いや、問題ない」

「ぎゃ!」

いつのまにか食事を始めているキラーに驚く。器用に穴から食べる様は最早手品だ。もりもりと食べ進めるキラーには目をうばわれるばかり。

「もしかして、パスタが好きなんですか」

「ああ好物だ」

「覚えました」

キラーは何か期待したような気持ちで、その後食事を口へ運んだ。カオは今食べているものをしっかりと噛み締め、味を覚えていた。

期待通り、カオは料理の腕がめきめきと上達した。

「うまい」

「もっと食べてください」

キラーはといえば、前より豪快に食べるようになった。遠慮がなくなった、と言えるだろうか。ばくばく食べる。


「マスクについてますよ」

「は」


カオがマスクについたソースを拭きとると、キラーは思った。考えた、感じた!

「これが、婚約…」

と、どこかの蛇姫の思考に似たことを。
その後すぐに、キラーはキッドにその旨を報告する。もちろんキッドはキラーを殴って殴って殴り倒した。

しかしそんなことで、キラーが目を覚ますことはなかった。