つぁいつぇん

厳重な警備。そんな感じの人。そりゃあもう隙を見せないし、弱いところも知らない。苦手なものも、嫌だった思い出も知らない。

「キッドって自分のことを話さない」

「ベラベラ話して何になんだよ」

「話して欲しいこともある」

「おれはお前には絶対言わねえ」

つれない言葉に彼らしさを感じる。キッドのことは、だいたいキラーさんから聞くことが多い。好きな食べ物や、趣味や、寝る時間。

そっぽを向いているキッドが、いま何を考えているのかすらカオにはわからない。ごはんのことかも。それとも星のことを考えたり、歌を頭の中で再生していたりするのかもしれない。

「キッド隙あり!」

「ウオ!」

わからないならアタックチャンスだ!とキッドに突撃ハグをする。キッドは潰れたような声を出して、勢い余った分だけ船に身体を打ち付けた。

「キッド、身体は隙だらけよ!」

「う、うるせえ!テメエ!男だぞおれは!やめろ!離せ馬鹿!」

「キッド!」

「アア?」

「好き!」

みるみるうちにキッドは珍しく赤面になってゆくし、あーだこーだと騒ぎたてるし、クールとはなんなのか。威厳とは、なんなのか。

「話してくれないならまたするからね!」

「二度とするな!話しもしねえ!」

「ずるいのよそれじゃ!」

「ガキかテメー!」

「ガキはキッドでしょ!」

どちらもガキだとキラーがおさめるまで、賑やかな声は続いた。