きみがぼくをほめる

着物という衣類。自分にはまったく縁がないと思っていた服だが、あれよあれよというまのワノ国。ここに居るのであれば、普段の格好はかなり目立つだろう。ベポは、それでなくても目立ってはいるが。

「なーんか普段、みっちりした服の分、着物ってーのはスースーするな」

「おれはこっちも暑いけど」

「もう裸で居ろよお前」

そんな着物の話。動けば着崩れるし、普段のツナギが最高だとかベポと話をする。これ歩いてて着崩れたらおしまいだなとか、トイレはどうするかだとか。思いの外に盛り上がってしまった。

「ペンギンも着てみたみたいだし、もうみんな着たのかなあ」

「あーそうだろうよ。みんな…」

ピン!とシャチは重要なことに気がついた。みんな着た、ということは、カオも着物を着ているかもしれない。普段と違う格好、よく見えるうなじ、体のラインが出る形状、そしてはだける着物。

「ヤベー!」

「な、なにが」

「ベポ!カオはどこだ!一刻を争う!」

シャチがギャーギャーとベポに詰め寄ると、ベポはシャチの後ろを指差した。

「わたしはここに居るけど。シャチ、用事?」

シャチは心臓が跳ね上がる。この声は確かにカオ。振り返れば着物美人がいる、そう思うとゴクリと固唾を飲んでしまった。ゆっくり、ゆっくりと振り向く。
さあ御対面!だがしかし、そこにいたのは普段通りのカオだった。

「あれ、着物は…」

「汚しちゃって、すぐ脱いじゃった」

「なんだ…」

こんなにガッカリしたことはない。シャチは、他の奴らは見たんだろうかと、想像の着物カオとサヨナラした。きっとペンギンあたりは着物を拝んでる。いいな、あいつはいつもずるい。

「シャチ?」

「ああいやなんでも。用事はねえんだ」

「そうなの?…シャチ、着物似合うね。かっこいい」

「いや、うん、だから…えっ」

少し照れながらカオは言った。そう、かっこいいなんて。おれキャプテンじゃないよ?と言えば、シャチでしょと当たり前の答えが返ってきた。

聞きながすところだったその言葉が嬉しくて、シャチは着物サイコーだとペンギンに話したという。






***
どこかしらで着物姿を見たいと思っていたり、着物を褒められるシャチが見たいというだけの無理くりなはなし。