100回目の梅干し
「ドレークさん!お弁当作って来ました!」
「俺が来る日は伝えてないはずだ」
「だから毎日!作ってました!」
カオはまっすぐ、アホである。
ドレークはまた要領の悪いことをしていたのだなと、ため息をついた。
「本当なら卵焼きとか、定番かなと思ったんですけどね、ドレークさんタマゴだめだから他のものを頑張ったんです!」
「だいたい肉じゃないか」
「だってドレークさん、恐竜だから!」
文句を言いながら、ドレークは弁当に手をつけた。しばらく食べ進めていると、ギョッとする。カオが静かに泣いていた。なんだ、毒でも入っていたのか。
「何故泣く」
「やっと食べてもらえたのが嬉しくて…」
「そんなことで泣くな!」
「船に乗っていたら毎日ベッドまで食事を運ぶのに、だから乗せてくださいよ」
「それはできない」
ドレークはいつも意志が強く、折れなかった。立場上、そう安安と折れてもらっても困るのだが。
「俺が泣かせたみたいじゃないか、泣き止め。今すぐに」
「ドレークさんが優しく抱きしめてくれたら涙も止まりそうなんですけど」
「するかそんなことを!」
カオの表情は落ちた。そうですよね、と答えはわかっていたはずであろうことなのに。ドレークはガシガシと頭をかいた。この顔に弱いのだ、情け無い。
「弁当の礼ということで手を打とう」
包まれたカオはたしかに、涙が止まった。びっくりして。ドレークに包まれ、ぶるぶると自分もドレークの腰に手を回した。
「誰にも言うな」
「はい、はい!」
「手を回すな!その…なんだ、胸が当たる!」
「むっつりスケベ!」
怪我しないでください、死なないでください、無理をしないでください、病気も駄目です。カオは沢山のお願いをした。それは今日の弁当だけの対価では見合わないなとドレークは言う。
またごはんを作って待っています。