くちがたつ
「いや、参ったな」
「キラーさんも怪我をするんですね」
当たり前だ。腹部を刺されたキラーは血がいっぱい出たと話した。包帯がぐるぐる巻かれたキラーの腹はあまり綺麗な手当ではない。包帯を巻いたのはカオだ。
痛い痛いと喚きながら手当をされたのが懐かしい。
「キラーさん、なんだか楽しそうに見えます」
「そう見えるか?」
カオは頷いた。
実質、キラーは状況を楽しんでいた。
「カオが居てくれる。それに、カオのアーンつきだ」
「もう」
アーンして飯を食わせてもらえるとキラーはニコニコとしていた。そうは言っても、ストローを渡したり、スティック状のものをマスクの穴に通すだけだ。カオには、あまりロマンチックではない。
「心配させないようにしてください」
「カオに思ってもらえるなら、それもいい」
カオはキラーの手を握る。
「おお、役得だな」
カオはキラーの手の甲をつねる。
「イテテテ、怪我人だぞ」
「心配したんですよ。こんなになるまで闘う人がありますか」
「ああ口がさみしい。タバコをくれ」
「吸わないじゃないですか」
キラーが腕を引っ張り、どうにかしてくれと囁く。
「マスクしてます」
「かまわないさ。上からするといい。なんなら首にでも、俺は喜ぶ」
「変わってます、キラーさんは」
ちゅ、とカオはキラーのマスクの口元に唇を落とす。
「ああ、いいものだな。興奮する」
「マスク外せばいいじゃないですか」
「外すとすごいことをしてもらえるのか」
「バカなことを考えていないで、寝てください」
へえへえとキラーは返事をした。マスクのおかげで寝たかはわからない。
「寝ましたか」
「寝たぞ、寝た寝た」
「寝てないじゃないですか!」
「添い寝してくれ、今日は冷える」
布団をめくられ、ここに来いと言わんばかりな態度だ。
「よくないですよ、怪我人と寝るのは」
「遠慮するな。来い」
そんなことを言いながらも、カオはよく寝たという。しっかりキラーにピッタリと張り付いて。
「寝させる気があるのか、カオは」
マスクを外したキラーは、カオの頭へキスをする。そしてにおいを感じた。
「すぐ治す」
わんわんと泣くカオの姿はあまりにも辛かった。泣かせないように、冗談を言って、別の感情を引き出した。
キラーはマスクを直すと、眠りにつく。
わがままを許して欲しい。