よろしく、ダーリン

ぱっ!と笑った。日に月にカオはキラーに懐いていったし、船にも落ちついていた。とつおいつ考えることを考えることもなく、こんな海でも穏やかに。

カオは最初は恐がっていたヒートやワイヤーにも普通に接することができるようになっていた。キャプテンのキッドも、兄妹のようになってゆく。

然りとて。

「キラーさん!」

「カオ、天気が良いぞ。外に出ないか」

腕を掴みながら、ぱっ!と笑うカオは、キラーの心をぐらぐらと動かしていた。カオはかわいらしく、どうにも落ち着くことができない。

「キラーさん、最近ぼんやりしてることが多いような気がします」

「あ、ああ。そう見えるか」

「悩んでることでも、ありますか」

キラーは首を横に振った。悩みはなかった。カオをじっと仮面越しに見つめたが、ああ綺麗になったなと思う。

キスできたら、などと考えながら。


「カオは無いのか、悩み」

「私ですか」

「あるという顔だ」

「あ、あります」


カオはあちこちに顔を向けて、辺りを見回した。誰もいないことを確認しているようだった。いないことがわかると、なにかを決したようにキラーに話した。

「キラーさんを好きなことです」

「それが悩みか?」

「はい。話すと嬉しい、一緒にいると嬉しい。でも、まだ何か」

キラーは壁にカオを押し付けると、問うた。

「足りないと思うか」

「足りないと思います」

何をされるのかわからないままカオは強く目を閉じ、キラーはカオにキスをした。驚いたカオは小さく声を出す。ウーともハーとも表現しがたい言葉。

「口に力を入れるな」とキラーが囁けば、はいとカオは言うことを聞く。征服や命令では無い、カオはキラーの言うことに間違いは無いと思った。

「キラーさん、これは…」

「キスを知らないのか。粘膜が触れ合うと気が昂ぶる」

力が抜けたのか、カオはキラーに寄りかかった。トクトクと脈は早く、カオは自分の息の自由がわからなくなった。それなのに、なぜか、またしたいと考えた。

「好きです、これ」

「よかった俺もだ」


カオがキスを覚えた日。