ちょっとごらん

石の上にも三年。という言葉が頭をよぎる。
腰掛けるのにちょうど良い、大きな石にカオは座っていた。人を待っている。

するとヒョコヒョコとやって来た、その生き物は声をかけてきた。

「おまえも誰かを待ってるのか?」

人間の言葉を喋ったその生き物に驚き、頷くと「おれもここで待つことになってるんだ」とまたその生き物は喋った。

タヌキだろうか、モグラだろうか、それともクマか。

「何のミンクなんですか」

「おれはトナカイだよ。それに、ただのトナカイだ」

ただのトナカイが喋るのだろうか。しかし、そこに喋っている者がいるのだから、そうなのだろう。

「友達を待っているんですか」

「まあ、そんなとこかな。おまえは?」

「私も、そんなところです」

「へえ。どんなやつなんだ?」

ぱちぱちと瞬きをして、少し考える。どんな、というと、難しい。

「かっこいいです。優しくて、背が高くて、髪が長くて、ええと…頼りになります」

「そいつのこと好きなんだな」

「好きです。どうしてわかったんですか」

トナカイはフフンと鼻を鳴らした。
男の勘だと。

「本当は、仲間にそういうのが好きな奴がいるんだ。おれは人間のことはよくわからないけど、よくそうやって、相手を褒めてるぞ」

「ふふ。たしかに褒めるところはたくさんあります。私は大好きですから、その人のことが」

カオが笑うと、つられてトナカイも笑った。笑い合っていれば、自然に話も出るもので、街には行ったか、最近の楽しいことだとか、食べ物の話などたくさん話した。

夢中になっていると、トントンと肩を指で叩かれた。

「カオ」

「キラーさん!」

待ち人に微笑む反面、トナカイはギョッとしていた。

「え!こいつを待ってたのか!」

「はい。トナカイさんも早く友達が来ると良いですね」

「お、おう」

トナカイはビクビクとキラーを見た。想像していた人物とはまるで違う。それに敵の船員じゃないか。

カオに、また会いましょうと手を振られながら、キラーにはジッと見られたトナカイはたくさん冷や汗をかいた。
殺されるかと思った、とその日のトナカイの日記には書かれている。


「カオ、何を話していたんだ」

「いろんなことを。キラーさんの話もしました」

「まったく、カオはよくあの船の奴に出会うものだな」


幸か不幸か、出会ってしまう人はいつも海賊で。もしまた出会う時があるかもしれない。その時は、敵同士かもしれない。





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言わずもがな、トナカイはチョッパーです。