回文書サイン
カオがラブレターをもらった。
そんな噂を耳にする。
ドレークはいつものようにすましていたが、内心、気になっていた。
どこぞの海兵だろうか。それとも街の人だろうか、それともどこかの貴族。
モンモンと考えても仕方がないのだが、確かめる術がない。渡した相手が部下だったなら、少し話を聞けるのだが。
「ドレークさん!わたし!ラブレターもらった!」
「うわ!」
勢いよく部屋に飛び込んできたカオは、先程までのドレークの悩みなんか知る由も無くラブレターを持ち込んできた。
「ドレークさん!ほら!」
「見せにくるやつがあるか!」
「だって!これはドレークさんがヤキモチ妬いてしまうに違いないと思って!ほらほら!」
「失礼な奴だ…相手の身にもなってみろ」
ひっくり返したコーヒーカップを元に戻すと、ドレークは書類を整えた。
「会って来ますね」
「好きにしろ。おれに報告するな」
ラブレターを握りしめて、見つめては見るがドレークはやはりすまし顔。
「かっこよかったら、付き合っちゃうかも」
「好きにしろと言っている」
あっかんべーとしながら、カオは出て行った。
嵐のようなこの珍事を部屋の端で見ていたコビーはクスクス笑った。
「素直じゃないですね」
「何がだ」
「心配で仕方がないんでしょう」
にこにことしながら、コビーが新聞を渡すとドレークはわざと顔を隠すように広げた。
「どうしておれが心配するんだ。カオが誰に好かれようが付き合おうが知ったことでは…」
「新聞、逆さですよ」
「ウグ…」
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「帰って来ましたよ、ドレークさん!」
「なんだ帰って来たのか」
5杯目のコーヒーを飲むドレークは、目を合わさずにすまし顔をしていた。コビーも変わらず、クスクスと笑っている。
「やっぱりドレークさんの方がかっこいいので」
「おれはそういうつもりはない」
「ドレークさんにそのつもりはなくても、わたしはずっとドレークさんが好きですよ」
「うるさいやつだ。資料を見てるんだ、静かにしろ」
「ドレークさん…」
それ逆さですよ、とコビーが耳打ちする。資料を元に戻すと大げさに咳払いをするドレークに、カオはえへえへと笑うのだった。