はにかめ星
星が上がり、散らばっている。
もう夜。すっかり夜だ。
コン コン コン
窓を誰かが叩く音がする。
こんな時間に、もしかすると不審な輩かもわからぬ。だがしかし、カオはためらいもなくカーテンを開けた。
どうでもよかったのだ、それほどに気持ちはぐったりとしていた。
「カオ、遅くなった」
窓を開けると、それはドレークだったから。
「遅すぎですよ。もう、日付も変わってる。約束が違います」
「すまない。敵を撒くのに時間を喰った」
「心配しました」
深くはないが、傷だらけのドレークを月明かりで確認すると、救急箱にしている箱を持ち出して、手当てに取り掛かる。
船医もいるだろう。それにかかる暇もなく、ドレークは来てくれたのがわかり、少し尊敬する。
それでもドレークは喜んだりだとか、嬉し泣きをしたりだとか、する男ではなかった。顔はいつもの澄ました難しい顔である。
「ドレークさんは会いたいと思ったりしますか」
私は会いたい、と言いながらドレークの手にガーゼを当てる。
「離れている恋人に、誰が会いたくないと思う」
ふっ、とドレークは顔をほころばせる。
「溺れやすい心を笑いますか」
「笑うものか。知っているのに」
「本当は引っ叩こうと思っていました。それなのに嬉しいこと言われると、やっぱり、好きなんですよ」
外の空気が、また胸を張らせた。冬の匂いがする、これが大好きだ。
「偉人の言葉を覚えておいて良かった」
「ふふ。どこで覚えるんですか」
「カオが居ない時だ。あまりに時間を長く感じるものだから」
ドレークは朝になると、冷めたコーヒーを飲み干して出て行った。また一杯のために来て欲しい。
カップに触ると、シン、シン、と本当に冷たい。彼はあんなに温かかったのに。