フルーツポンチ
大変珍しい。
マストにもたれかかって、キラーが寝ていた。
うたた寝なのか、いつも気を張っているキラーは疲れていたのかもしれない。
起こさないように静かに近寄ると、スウスウと寝息が聞こえる。
「キラーさん」
やはりスウスウと寝息は続く。
「キラー、さん」
隣に並べば、それだけでどきどきした。
「私キラーさんが好きです」
寝ているのなら、言っても聞こえないはずだ、なのに本人がいるところで言うのはなんだか照れてしまう。好きと言うのはやはり、何度言っても自分には慣れないもので、顔を手で覆う。
「ずるいんじゃあないのか」
覆った手を掴まれる。顔から手が離れると、バチリと目が合った。
「起きてたんですか!」
「いま起きたんだ」
髪をかきあげて、キラーは欠伸をする。
「すみません、静かにしていなくて」
「いや、居眠りはキッドに何を言われるか。ありがとう、良い目覚め方をした」
膝を抱えるように座っていたが、カオはいそいそと正座に直す。キチンとしなくともキラーは何も言わないが、カオの癖であった。
「それ」
「はい」
「悪くないな」
ごろりと横になり、キラーはカオの膝に頭を乗せた。
「ヒャ!」
頭を乗せられたカオは悲鳴をあげる。悲鳴を聞くと、慌ててキラーは飛び退いた。
「い、嫌だったのか!」
「えっあの、くすぐったくて。キラーさんの髪が」
謝りながら赤くなるカオに、キラーはキョトンとする。膝枕も、カオはよく知らなかったようで、何をしようとしたのか尋ねてきた。あまりにも初く、キラーはおかしくなって、クスクスと笑った。
「カオの悲鳴は初めて聞いたな。そうか、膝枕を知らなかったのか」
「し、知りません。あんなにくすぐったいのも初めてでした」
「なんだなんだ、カオの弱点はくすぐりか。ファファ」
キラーはにやりと悪い顔をした。カオの脇腹やら、足やらに手をかけくすぐると、それはもう弱く、カオは笑いながら泣いた。
「くすぐったいです!や、フフフ、やだ、やん、ウフフ!キラーさんたら!」
無邪気にくすぐられて笑うカオだが、キラーの方は何か湧き上がるものがあった。ふざけているだけなのに、カオがいやらしく見える。
それでも、ことに運ぶことはできなかった。キラーは頭を抱えながら、自分はまたヘタレなのかもしれないと思い、疲れてスウスウと寝るカオの頭を撫でた。
「知ってますか。くすぐった後のエッチは感じやすいって」
「ワイヤー、そんなにおれに首をはねられたいのか」
一部始終を見ていたワイヤーが、そうやってからかうのもキラーのためいきの理由だった。