あさやけ

その人はいつも一番にやってくる。
長い髪がボサボサとして、欠伸をしながら席に着く。おはようございます、と声をかければ、おー、とだけ言って返事をする。

温めたパンをお皿に山盛りに乗せて出せば、それを大きくちぎって食べる。
朝この時間、マスクはしていない。朝早ければ、誰にも顔を見られないからと前に話していた。

(もうひとつ理由がある。本当はおはようのチューをしたいらしい。この理由は、彼女には内緒だ)

「スープ、熱いかもしれません」

「いい、ゆっくりするさ」

朝のにおいと、コーヒーのにおいが部屋いっぱいになる。
キャプテンの朝は遅い。普段活動が活発だから、ゆっくりしてもらえるのは嬉しい。ヒートさんは、朝飯は要らないらしい。ワイヤーさんは、部屋にカンヅメを持ち込んで、それを食べたり食べなかったりするらしい。
他の船員さんは、キャプテンがうるさいからこの時間までは飯を食うなと決めている時間があるのだと聞いた。

「パン、明日また焼きます。もうそれ、硬いでしょう」

「おれは気にならないが。それでも焼きたては楽しみだな」

話していると、キラーさんのコーヒーが半分になったので、砂糖の入れ物を用意するのが日課。
半分は、ブラック、もう半分は甘くして飲むというのがキラーさんの好きな飲み方らしいです。それを聞いた次の日、言われる前に準備をすると、キラーさんは褒めてくれた。

「キラーさん、昨日ズボンのポケットに買い物したもの入れていたでしょう」

「あ!無いと思ったんだ。そうかズボンに…」

「小さい包みでしたから。後で部屋に持っていきます」

パンの手が止まって、キラーさんはどこか、残念そうな顔をしているような。洗濯物のポケットのチェックはいつもしているけれど、珍しく物が入ったままだった。包みの中は見ていないが、武器の一部や釣り道具、タバコか何かだと思う。

(この包みはカオへのプレゼントであったが、これをきっかけに渡さず、未だに部屋にあるらしい)

朝食が済むと、キラーさんは決まって背伸びをする。その時、お腹が見えたりするので、少しだけ子どものようでかわいらしい。

「プリン好きですか」

「ああ。なんだ、準備してあるのか」

「はい!フフ、うまくできていると良いんですけど」

味見してください。と、スプーンにひとくちすくって、差し出す。
するとキラーさんは急に慌てて、何か迷ってから、プリンを口に入れた。



朝の時間、私は好きな人とのこんな時間が好きです。
今晩はカレーです。