「うっわ」

「なんだその反応は」

もっと喜ぶかと思ったんだがなとサーティーンは言った。

カオが渡されたのは花束である。

こんなことをされたのは初めてで、サーティーンが花を買ってきたことも初めてで。

「おじさん、花とか買えたんですね」

「子供じゃねえんだぞ」

人生ではじめての花束。
もしかすると、この先だってもらうことはないかもしれない。

「どうしよう、嬉しいとか感動を通り越して、なにも感情がわきません。無、です」

するとサーティーンはいつものようにクツクツと笑った。あまりにも笑うので、ひとつ咳払いをすると、悪い悪いと謝られた。

「食えるもんの方が良かったか?」

「いいえ、そんな。でもこれ枯れちゃったら捨てないと行けないし…食べましょうか、どうしたらいいんですかね…」

やがて血となり肉となり…。
花は枯れてしまうものだ。それならば身になった方が良いのではないかとカオは考えた。

サーティーンは自分が渡した花束を、まさか"食べます"と言われるとは予想していなかったため、おかしくて仕方がなかった。

「次は好きな花を渡したい。食べないのならな」

「好きな花は、いっぱいあります。でも、もらえるならなんだって好き」

毎週金曜日は花を一本だけ買うという習慣がついた。

おかげで、カオの机には花が絶えない。