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サイレンが聞こえる。
海沿いを行く電車に乗り込んだ。サイレンは、この街のお昼の時報らしい。
今日は朝から遠くへ出かけている。
あまり知らない街の電車に乗ることだけでもう胸を高鳴らせていた。
「今日は忘れ物、ないのか」
サーティーンはカオに尋ねる。
潮風は良くないと言っていたサーティーンだったが、今日を楽しみにしていたようで、先に電車に乗り込んでいた。
「忘れ物無いよ。財布もあるし、ハンカチもあるし、女子力高い」
「前はポストに投函するもの忘れたって騒いでたろ」
よく覚えていらっしゃる。そうカオは思う。言われると心配になるもので、バッグの中を探る。
「あっリップ忘れた」
それを聞くとサーティーンはカオの顎を少しだけ上げると、鳥のようなキスを落とした。
「これで代わりになるか?」
「おじさん!!ちょっと、ちょ…!」
「どうした」
「そういうことは公共の場で普段しないくせにこういう時にするおじさんはずるい。おじさんはそういうとこだよ」
訳がわからないというサーティーンを乗せて電車は目的地へと向かって行く。
カオはリップを5本買い込んだ。