私の好きな人が世界一って言えたらいいのに。
そんな歌があった気がするけれど。

世界一とは言えないかもしれない私の好きな人は、何を考えているかわからない。
おまけに空気は読めない、気も効かなくて、アイアンリーガー。毎日好きな人のおかげで悩みが増える。

「おはよう、カオ」

そう言われて目を開けてみれば不法侵入のマグナムエースが自分のベッドの横に立っていた。

きっとデリカシーもない。

「おはようじゃなくて、そんな、朝から猫のようにいつも当然と起こしに来るね」

「当然だ」

何を根拠に当然だと思っているのか。
マグナムは側からみればマトモだと思っていたが、近寄ってみれば色々とおかしい。

「あのね」

「おっと。わかっている。着替えの時は部屋を出ていく約束だ」

紳士なのか何なのかわからない。
見られていても困るが。着替えは見てはいけないという紳士的な心があるのなら、不法侵入はやめていただきたい。

「朝飯はできているからな」

「また勝手に冷蔵庫を開けた!」

マグナムは当然だ食べ物は冷蔵庫に入れてあるのだからと言う。

着替えを済ませて食卓へ行くと、綺麗に並べられた朝食が待っていた。
そして新聞を読んでいるマグナムも待っていた。

新聞はわざわざ買ったものを持ってくるらしい。うちでは新聞をとっていないので。

「なぜだか、味見できないはずなのにゴハンがおいしいのよね。マグナムが作ると」

「そうか」

そう言いながら新聞から見切れて見えるマグナムの、ちょっとだけ、はにかむような顔が好き。

それくらいしか、好きだと思うことはないのに。

「なんで好きなのかねえ…」

「ソーセージか?」

「それも好きだけど」

マグナムのことだよ。そうは言ってやらないぞと、固く心に決めているのだ。

当然だと言いながらまた朝からやって来るマグナムに、なんておっさんだよと思いながらも、カオは面白く思っていた。

好きな人は世界一の変な人かもしれないが、自分も変な人なのかもしれない。

カオは今のところ、それで良い。