今日は夕焼けが一段と綺麗。

「帰ったのかカオ!」

声も空からやって来る。
見上げてみれば、屋根にいるのはファイターアローで。

「またそんな高いところにいる。危ないですよー」

「大丈夫だ、落ちはしない」

アローはまるで荒鷲のように屋根から飛び降りる。毎日これだ。

「普通に登場ができないんですかね」

「少し変わっていた方が記憶に残るというものだ」

まあ残りますけどね。同時にとても疲れます。アローは身振り手振りも大きい。意識してやっているのか、無意識なのか。

「今日は何をするんだ」

「いや、何をするために来たんですか」

「そうだな、ではお茶の時間にしよう」

「もう夕方ですよ」

アローはやることなすこと何時でもいいらしい。それも最近わかってきたこと。

夕飯の準備を進める。

「人間のように夕飯が食べられるなら、俺もカオと同じ物を食べてみたいものだが」

「食べてみたらいいじゃないですか。壊れたら壊れたで、治してもらいましょうよ」

「それもアリか」

アイアンリーガーに味覚があるのかはわからないが、どうだろう。
アローはジッとこちらを興味津々に見ている。カオはどうぞ、とオカズと箸を渡す。

「すまないが、コレを使ったことがない」

アローは箸を握りしめてわざとらしく首をかしげる。別にかわいいこともない。アローだから。

「手で食べても良いんですよ」

「いいや、食べさせてくれ。俺は汚れることは好かない」

初耳だ。

「おじさんのくせに赤ちゃん扱いしていいんですね。スピリッツが泣きますよ」

「知ったことか」

アローは口を開けてほら早くしろと急かす。世話のかかるおじさんだ。

あーん。と、声には出さないが、アローの口に、あーんをする。

「まあまあだ」

「ほら味わかんないんじゃないですか」

「正直わからん。だが、この餌付けのような行為は好きだ」

「赤ちゃん扱いですよ」

「赤子だけではないはずだ。アベックがしていた。あまり利口そうではない者たちだったが」

アベックという呼び方にまたおじさんを感じる。何を普段見ているんだろうこの人は。

「また頼もう」

「明日にしてください。私あとは食べたいので。明日は2人分用意しておきますよ」

アローは帰る時はクールに去るので、サッと帰ってしまった。
明日また来てもらうように言ってしまったなとカオは考えつつ、まあどうせ言わなくても来るのだから良いかと眠りについた。



「何を暴れているんだアロー」

「暴れて気を紛らせているんだ!ほっといてくれ!」

バタバタゴロゴロと動き回っているアローを不思議そうに見守るスピリッツ。
クールに平常心を保っていたアローだが、実は嬉しくてたまらなかったらしい。

「カオー!好きだ愛しているぞー!」

そんな叫びを受け止めていたのは部屋のクッションだった。