mr.mouth
ギイギイと机が唸っていた。それを直そうと、工具箱を持ち出してきたのはシャチ。
「シャチって、器用」
机を直しているところ、カオがやってきた。尊敬の眼差しを向けられてたシャチは、なんとも言えない気恥ずかしさから目を背けた。
「コーヒーいれてくる!疲れたでしょ、ひと息つこ」
「おれうんと甘いのにしてくれ」
そんなに疲れてはいなかったものの、カオがいれてくれるならと思い同意した。コーヒーはブラックでと微糖でも甘いものでもなんでもよかった。自分にそんなこだわりは無いらしいことを、最近知ったんだとシャチはカオに話す。
「またキャプテンは居ないね」
「放浪癖があるよな」
「ベポがえんえん泣いてた、またキャプテンが居ないって」
ローはどこかへまた出てしまったらしい。こうなるとシャチとペンギンが仕切ることになる。忙しくなるなとシャチは考えていた。
「シャチはキャプテンと長いんでしょう、いいなあ」
シャチはどきりとした。
それは、ローと居られてうらやましいということかと思ったし、ローを好きだということかと思って。いやな鼓動の速さは治らない。
「わたしもシャチと長く居たかったな」
そうカオが言うまで。
なんだ、そっちか、よかった。ほっとしたシャチはにっこり。
「これから長く居ればいいじゃないか」
安心してぽろりと出た本音は、お互い照れてしまう赤の素だった。