宙に浮く人

人生には幸せな時がある。それが今なのかもしれない。

横を向いて寝ていたおれは目を覚ますとすぐに、背中の温かさに気がつく。カオが背中から手を回して、ぷうぷうと寝ている。そんな朝、幸せ!と叫びたい気持ちでいっぱい。

願わくばこのままずっとカオに抱き枕にされていたい。起きなかったことにしてまた寝よう。キッドは怒るかもしれないが、知ったことか。おやすみ、地球の仲間たち。



これは少し前の話。キラーが起きる前。
カオは目を覚ます。もぞもぞと動いて、少しだけ伸びをする。

横を向けば、広くて大きな背中があった。まだ寝息が聞こえる。ふふふと笑って、背中に額をひっつけた。丸まったまま身体もできるだけ近づけて息を吸った。朝の匂いと、自分と違う匂いがする。心地よい。

そのまま腰に手を回して、二度寝をした。怒られるかもしれないと思いながら、うとうとして。すっかり寝入る。



どちらが先にともわからない時間、目を覚ました二人。キラーが上向きになると、自然とカオは離れた。それでも身体は少しキラーの方を向いたままでいた。

「何時だと思う」

「わかりません。すっかり寝坊してしまいましたから」

キラーは口角を上げる。
カオはグッグッとキラーの腹を触った。

「キラーさんの体、カタくて。少し痛かったんです。でも嫌じゃなくて」

「カオは柔らか…いや、なんでもない」

ナニが特に柔らかいだなんてことは秘密だ。
カオは不思議そうな顔を向けているが、言えるわけもなく。

「カオ、好きだ」

誤魔化すように言ってみたりする。

「好きって気持ちは、わたしの方が上ですよ」

「それはどうだろうな」

チュ、と口を塞げば「負けました」とカオがニコリ。

「愛してる」

ポロリと出た言葉で、時間が止まった。
キスをするよりもなんだか照れくさく、恥ずかしいと思った。顔は熱い。
慌てて布団から飛び出して、キラーは顔を洗いに急いだ。

残されたカオは、初めて聞く言葉に悩んでいた。愛ってなんだろう。どういうことなのか、また聞いてみなければ。