世界はまわる
「ミステリオンは、好きな人いないの?」
「えっ…」
唐突な質問だった。
今日は野良犬に襲われかけていたところ、ミステリオンが助けてくれた。助けてもらった後に建物の屋上まで上がって、二人並んで話すことが日課になりつつある今日この頃。
「ヒーローはみんなが好きなのだ」
なんとか出た答えがそれだった。
「みんなってことは、何人もってこと?それなら話せるかな、私ミステリオンのこと好きよ。でも、ケニーくんのことも好きなの。2人同時に好きになるのは駄目かしら…」
「そ!そんなことは…」
「カートマンくんならきっと、あの、その、ビッチ…とか言うわ」
ミステリオンもケニーも同じ人間なのだから、2人ではないし、決してビッチなんかではないのだが。ミステリオン的には正体は明かせない。辛いところだ、ヒーローの宿命だろう。
「ミステリオンは…どう?」
見上げてきたカオの顔。ああ好きだよ、もし君が何本も同時に受け入れるビッチであっても、特殊な性癖があっても、むしろ歓迎さ。
でも迷っているカオの目を見れば、そんな趣味は無いとカートマンでもわかるだろうね。
吸い寄せられた、映画のスパイダーマンが逆さまのまま正体を知らない女とキスしたように。
ミステリオンのコスチュームの良いところは口元は隠れていないところ。
チュ、なんて音はしなかった。あれって音立てないと鳴らないのかな。それとも吸えばよかったんだろうか。本当、子どものキスだ。
「ミステリオンとキスしちゃった、赤ちゃんができたらどうしよう」
「カオ、子どもは…いや、なんでもない」
ミステリオンになら大胆になれるカオと、ミステリオンの姿なら大胆に行動できるケニーと、2人はなかなか難しいのだ。