包囲網を中心に
「どうだ」
「は、入ってますキラーさん」
「怖くはないか」
「変な感じがします。思っていたよりもあたたかいものなんですね」
チャポンチャポンと海へと足を踏み入れたカオはおっかなびっくりとしていた。波があるせいで、余計にビクビクとしているのだ。
浜から見ていたキラーもジャブジャブと海へと入って行くと、潜ることから練習は始まった。
「離さないでくださいね、絶対。絶対、絶対ですよ!」
はじめて自転車に乗る子どものようだった。手を掴み外れないようにと指を絡めてきたカオは、これが俗に言う恋人繋ぎということを知らない。
潜って、息を吐く。目を開ける練習もした。ブクブクと泡が潮を裂いていく。波に足を取られてフラついては手の力を強めた。カオの髪からポタポタ落ちる水が重そうに見える。
カオが前かがみになると、普段詳しくわからない胸が重力のおかげでよくわかった。
目を取られている時ではない、煩悩消えさりたまえとマスクの下でのキラーは百面相だ。マスクのおかげで目線がバレない分、ついつい胸を見てしまう。水着なんてほとんど下着じゃないか。生地が違うだけ、そう心底思った。
日が沈み始めるまで練習は続いた。その頃にはヘトヘトとなり、腹もすっかり減っていた。
カオは足も上手く使えるようになり、そう長くは泳いでいられないものの海を進めるようになっていた。カオはカナヅチというわけではなかったのだろう、すぐに泳ぎを覚えた。
海から浜へ上がれば、カオは少し水着を直す。悲しくも、キラーは素早くその動作に目が動いてしまった。すると、ジ…とカオがこちらを見てくるので今回ばかりはバレてしまったかと身構える。
「服が無く、明るいとよくわかるものですね」
「な、なんだ」
「たくましく立派なものだと」
ペタペタとカオはキラーの腹筋を触った。
「柔らかいものなのですね」などと言いながら、珍しい珍しいと遊んだ。
「イチャイチャしやがって…」
一息ついていたキッドは、船の上でそう呟きながら二人を見つけていた。はやく飯にしたい。