ひまわり

キラーが敵の能力により体が幼児化した話。


「小せえ」

キッドはキラーを猫のようにつまみ上げた。無抵抗のキラーは、今は力でキッドに敵わないことがわかっているのだ。

「マスクもできない。これじゃ本当に幼少のままだ」

普段のマスクですら合わなくなったキラーは参ったとため息をついた。するとコソリとこちらを見ているカオを見つけた。こんな姿は見せたくないのだが、致し方が無い。

「カオこれは…」

「キャプテン…あの、次抱かせてください!」

状況を説明しようとするや否や、カオにも猫扱いのような言われよう。キラーは少しだけ男としてショックを受ける。キッドは迷いなく、「ホレ」とキラーをカオに渡した。カオは、キラーの今の姿は赤子程では無いので、少し抱き上げる程度にする。子どもも重たいのだ。

「小さい…こんなにおさまりが良いキラーさんに会えるなんて。かわいいです、フフ」

すっぽりとカオの腕におさまったキラーは前語撤回した。男としてショックだとか思っていたが、なんとも言えない柔らかなものが後頭部に当たっていたり、包み込まれる感覚は最高だった。

「普段がデカすぎんだよな」

「お前に言われたく無い…ウッ」

カオが頭に頬擦りをしたので妙な声を出してしまったキラー。情け無い、そんなことまでされると照れてしまう。

「子どもの姿では不便なこともあるでしょう。わたしが手伝いますから」

「中身は元のおれだぞ。あまり手伝いなんて」

キラーを下ろしたかと思えば、自然と手を繋ぐカオ。それはもう母が子どもと手を繋いでいるようにしか見えない。また情けの無いことに、キラーよりもカオが方が今は手が大きい。

「元の姿で自然に手を繋げたらいいのにな…」

ボソボソと話すキラーの声は足元に落ちていった。誰かに服を借りましょうと手を引くカオに届くことは無いのが、いつものキラーの本音なのだ。


「子どもいつ作ったんだ」

その聞き覚えのある声に見上げれば、ワイヤーが立っていた。この顔は『またいいおもちゃを見つけた』という顔である。

「この人はキラーさんです。子どもじゃありません」

「自分がいちばんガキ扱いしている癖に。副船長、いや…キラーさん、もっとガキになっていれば乳が吸えたのに残念でしたね」

キラーの頭をわしゃわしゃと撫でつけるとワイヤーはそれは良い顔をしていた。キラーは殺意を剥き出しにしていたが、子どもの姿では迫力が無かった。

「他の人に借りましょう」とカオが訪れたのはヒートのところである。

「子どもの服はなあ…旦那、なんとかします。時間をください」

「すまん。迷惑をかける」

ヒートとの会話は平和だ。ヒートとカオと子どものキラーがそんな話をしている様子を船員が

「なんか親子っていうか、夫婦って感じですね」

と声をかけたことで地獄と化す。
ヒートにはワナワナと怒りと嫉妬を堪えているキラーがよくわかった。またこれはしめられる、と直感して。

『おれだってカオと夫婦に見られたい』

『許してくださいよ、そんなつもりは無いんですから!』

カオに聞こえないように怒りをぶつけながら、キラーはヒートを睨みつけていた。子どもでも殺戮武人、骨の二、三は折られるのではないかとヒートが身構えた。妬餅武人は恐ろしい。

「わたし、こんなにキラーさんに似たかわいい子どもなら授かりたいです」

カオがパアッと笑いながら言った一言がヒートを救った。

「キラーさんのお子さんならきっとこんな風にかわいくなってくれますよね」

「そ、それなら!おれの子を…」

「はい!産まれたらぜひ会わせてくださいね!」

一刀両断されたキラーは崩れ落ちた。
今のは見事なすれ違いだとヒートも同情する。


「プロポーズはまだうまくいきそうに無いですね、旦那」

「うるさい、腕を折られたいのか…」