味が違う
カンカンと照りつける太陽。
皆薄着になったり、足を水につけたり、様々な過ごし方をしている。
「暑い」
「暑いならマスク脱げ髪切れ服も脱げ」
キッドはうだるキラーにベンベンベン!と口で攻撃した。どれもごめんだとキラーは防御態勢。今日はとにかく暑く、日差しが強い。この辺一帯の天候のせいだろう。
ガタガタガヤガヤとする方へ顔を向けると、カオとワイヤーの声がする。姿が見えないが、どこに居るのだろう。
「本当にこれが良かったんでしょうか」
「良い良い、ほら」
ヒョコヒョコと姿を現したカオはいつものワンピースでは無く、浴衣である。
浴衣である。
「良い」
キラーが背筋を伸ばしながら感情がダダ漏れになっているところ、いつもならやれやれとキッドはその場を離れるのだが今日は離れなかった。
「なんだ、あいつ、似合うな」
そうポツリと呟いて。
「キッド、一応警告しておくがカオに手を出したらおれの拳が顔を潰すぞ」
「物騒な奴だな。綺麗だろ、そう思うくらい許されてえもんだ」
男の嫉妬は見苦しいぞと続ければ、キラーはフンと鼻を鳴らして頬杖をついた。
そんな間にカオが近寄ってくる。普段より身体のラインがわかる浴衣姿に目を奪われたままだ。
「涼むならこれだと言われたもので…あまり涼しい服とは思えないのですが。キラーさん、タオルを持って来ました、どうぞ」
「ああ、汗が止まらないな。すまん助かる。その…」
「カオ、それ似合うな。綺麗だぞ」
タオルを受け取りながらキッドは言った。カオは驚き目を見開いて、えへへと照れながらタオルを自分の口元に当てた。
先にカオへの褒め言葉を言われたキラーはガクリと肩を落とした。もっと自分には勢いが必要だ。そうキラーは少し悩むようになった。
夜になると少し涼しい。
キラーの部屋にやって来たカオはいつものワンピースを着ていた。
「日が沈むと、過ごしやすくなりますね」
そう言いながら洗濯物を渡す。発汗が多く、洗濯物が今日は多かったらしい。
「カオ…」
「?はい」
「もう今日の、脱いだのか」
「あれは動き辛くて…それに、その、キャプテンは似合うと言ってくれました、けど、えと」
「キッドに言われるのは嫌だったのか」
「いえ、嫌では」
「良かったのか」
「キラーさんに…言われたら良かったと」
カオがゆっくりドアを閉めようとすると、キラーはドアの隙間に足を入れて止める。
「きゃー!やめてください帰ります!」
「やめてたまるかカオ!似合っていたんだ綺麗で、おれは好きだった!」
隙間から見えるカオの顔が真っ赤になる様子が見えた。
「キャプテンに褒められるのとキラーさんとでは違うんです!恥ずかしい、見ないでください!」
「見せてくれ!」
ドアの攻防はしばらく続けられることになる。
ネジがいくつか取れてしまった。