ゴールドフットがシャワー浴びて外に出ると、バスタオルを広げてカオが待ち構えていた。

「やらせねえからな。貸せそのタオル」

「ケチ!」

フットはカオからバスタオルを奪うと、自分で身体を拭き始める。その間にむくれた顔をしたカオのことをずっと無視していた。

「フットは何でも自分でやるからつくしようがない!マスクは何でもやらせてくれるよ!」

「弟と一緒にすんな!それとマスクと最近は随分仲良ししてるじゃねえか!」

「浮気だよ!」

「威張るな!」

ぎゃーぎゃーとシャワールームで戯れている二人に気を遣って、ゴールドアームはいつまでもシャワーを浴びることができずにいたのは誰も知らない。

「ちょっとでも甘えてくれたらいいのに」

「んなこと俺が人間みたいに風邪でもひかねえとやらねえよ」


というのが先日の話だ。
本当にフットは風邪をひいた。最近アイアンリーガー用オイルにウイルスを混入させたとんでもない事件が起きたのだ。
口は災いの元である。

「ばんざいフットが風邪ひいた!」

「喜ぶ奴があるかよ…チッ人間ってのはいつもこんな…ああだりい…」

フットはメンテナンスルームに横たわっていた。普段人間のように横になって寝ることがないために、メンテナンスルームで横になり休ませてもらっている。

「何でもしてあげるから存分に甘えなさい」

「やらねえって…」

「意地っ張り」

ゴホゴホとフットは咳をする。一応、そういう機能もあるのだなとカオは物珍しく見た。

「はやく帰れよ、もう外暗いだろ」

「今日は一晩中フットの看病するつもり」

「ばーか、うつるぞ…」

アイアンリーガーのウイルスが人間にうつるかは疑問だが、フットの優しさにカオは嬉しくなった。フットは普段怒ることも多いが、それは優しいからであることをカオは理解している。

「風邪って人にうつしたら治るって言うんだよ」

「うつしてどうする…迷惑な治し方するんじゃねえ」

「もー、チューしてうつすんだよ。ほら、してごらん」

「んなことは治ったらいくらでもしてやる」

お前にうつしたくねえとフットは言う。
カオはふうふうと熱を外に出すフットの頭を撫でた。

「フット、寝なよ。電源オフにしてても熱は私が冷やしておくから。起きて無くてもいいよ」

「自分で熱逃して冷却してた方がマシだ」

「フットは風邪ひいても頼ってくれない…」

しゅんとするカオをフットは横目で見た。何か悲しいことだったのかとフットは驚いた。

「お前はわかってねえかもしれねえが、俺はカオを頼ってるぜ」

「そうなの?」

「お前じゃねえとダメなときばっかりだよ」

フットはそう言うと、自然と意識が遠のいていった。気がついた時にはすっかり朝で、身体の熱暴走も無く、身体もすっかり普段通りの動力になっていた。

カオも寝てしまっているが、側に居てくれたらしい。フットが乗せられている台にもたれかかり寝ていた。

「こんな所で寝ちまうんじゃねえよ」

フットはカオを抱きかかえると、自分の膝に横たわらせた。膝枕のようにしてやりたかったのだが、膝に乗せた方が具合が良かったのだ。

ポンポンと子供をあやすようにカオを優しく叩く。

「マスクにどうやって甘えてるか聞いとかねえとな」

フットはぼんやりとそう呟きながら、カオが起きるまで待っていた。

またその二人に気を遣って、メンテナンスルームに入れないゴールドアームが居たことは誰も知らないのだった。